THRILL 2001年9月号 Vol.22の金子一馬氏との対談
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二大人気クリエイター対談 
週刊少年ジャンプにて長きに渡り連載が続いている『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦。そしてファンのあいだでは悪魔絵師という異名を持つ『真・女神転生』シリーズのアート・ディレクター、金子一馬。日常においてもファッションに多大な関心を持つこの二人は、ファッションの要素を自分の作品にどのように取り入れ、そして進化させているのか? また、二人の作品のルーツとは何なのか? 今だからこそ明かされる二大人気クリエイターの秘密に迫ろう!
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撮影場所は新宿にあるトルコレストラン「ウスキュダル」。
検索してみたら、内装は昔のままのようです。 

★お互いのルーツについて
荒木 まずお互いのルーツなんかについてお話しましょうか。
金子 そうですね。
荒木 まず仕事の内容なんですけど、ストーリーまで関わっているんですか?
金子 はっきりとは公表していないんですが、僕も考えています。
荒木 あっ、やっぱり!だってグラフィック集を見ていて、ストーリーに関わっていないと描けないデザインだと思ったんです。 ただデザインしているだけで、こんなに多くのデザインができるのかと不思議だったんですよ。キャラクターとかの状況とかいろいろとあるじゃないですか。 スタンドっていうのは、その技の特徴に合わせてデザインしていくんです。 例えば水の中で活躍するスタンドであったら、こういうデザインにしなきゃおかしいみたいな。
金子 やはりキャラクターの行動原理みたいなところを考えていくと、こういうタイプのキャラクターだから、こういう格好をしている、そういうのがありますからね。
荒木 そうですよね。肩から毒ガスが吹き出すから穴がなきゃとか。それじゃあどういう穴がいいかな、みたいな。
金子 でも、スタンドの前にジョジョだったら、怪しいポーズとかほかにもいろいろとあるじゃないですか。あのへんはどうなんですか?
荒木 それはそのうち語りますよ……チョットあとで(笑)。
金子 あ、順番があるんだ?
荒木 そうそう(笑)。お聞きしたい順番があるんですよ。
金子 分かりました。じゃあ僕が聞かれちゃうんですね(笑)。
荒木 まず、自分のほうから言うと、ウチの両親がちっちゃい頃、本をいろいろと読んでくれたんですよ。 『トム・ソーヤの冒険』とか、あとジュール・ヴェルヌの『海底二万里』とか。 そういうのばっかでね、日本のじゃないんですよ。だから、なんか異常に外国へ対する憧れが強かったんですよ。で、食べ物や音楽にいたるまでそういうふうになっちゃって。だから日本食とかもあんまり好きじゃないんですよ。
金子 僕も和食あんまりなんですけど、でも寿司屋の息子なんですよね(笑)。
荒木 ハハハハ。ほんとに?
金子 それで目の前でアナゴとかの目玉にザクッ!とか串刺しているのを見て、イヤになっちゃった(笑)。 でも、本に関しては僕はジュール・ベルヌとかよりは、ディズニーっぽいほうが多かったですね。音楽はどうですか?荒木さんの作品読んでいたら分かりますが、洋楽好きそうじゃないですか。 僕も洋楽大好きなんですけど、タケノコ族とか昔流行りましたよね?僕、タケノコ族やってたんですよ。
荒木 あれ洋楽じゃないじゃん(笑)。
金子 でも、ジンギスカンとか(笑)。ああいうの聴いちゃうとおもしろいじゃないですか。そうしたら夜ヒットとか観れなくなっちゃって、そのまま洋楽にどんどん入っちゃって、ブラックとかファンク系が好きでしたね。
荒木 僕はプログレです。
金子 えっ、プログレ(笑)?
荒木 もろ’70年代ですよ。イエスとかエマーソン、レイク&パーマーとか。
金子 スタンド使いの名前はプログレばっかりじゃないですよね。
荒木 まぁ、全部ありなんですけど(笑)。
金子 僕が気になったのが”エシディシ(AC/DC)”(笑)。結構親近感ありましたよ。
荒木 バンド名は何でもオッケーですよ、外国のものであれば。日本語がダメなんですよ。拒否反応が出ちゃって。仕事中にね、感情移入しちゃうというか。ちょっとピクってきちゃう。「何こいつスカシたこと言ってんだ?」みたいな(笑)。
金子 まぁ、洋楽もかなりスカシたこと言っているんですけどね。
荒木 理解したらこっ恥ずかしくて聴けないことばっかでしょ(笑)。だから私の場合はリズムとか、音の広がりですよね。なんか空間があるんですよ、音と音の隙間の中に。なんかね、そこにグワッと入れるんですよ。ストリングスとかの微妙なところでね、待ちがあったりとか、風が吹いたりとかさ。だから、その人が何歌っていてもいいんですよ。
金子 そういうときはもう仕事がノリノリになったり?
荒木 そうそう、ノリノリになったり泣いたり。
金子 えっ、泣いちゃうんですか(笑)。
荒木 そう。「うわぁ~、切ないなぁ~」って(笑)。歌詞とか関係なく切なくなったりしません?
金子 いや、ありますあります。悪魔音階っぽいっていうんですか、なんか気持ちを上下させるものってありますよね。あれを上手く開発すれば人を操ることができるんじゃないですかね(笑)。

取材にはどこへ行く?
荒木 よく取材で海外とかには行かれるんですか?
金子 いえ、僕はあんまり行かないです。
荒木 じゃあオタク系の外国マニアですか?
金子 まぁそうです。人が一生懸命書いた本を一生懸命読んで、その人の情報をすべていただくというズルいやり方です(笑)。でも、時間があれば行きたいですけどね。荒木さんはよく行ってますよね?
荒木 私は場所限定ですけどね。イタリアとかが多いですね。イタリアは本物っぽいところがなんか好きなんですよ。他の国はその物真似みたく見えちゃうんですよ。彫刻とかを見ていても、「あ、これはあの彫刻のイミテーションだ」とか思ってしまうんですよ。
金子 僕はどっちかと言うともっと日本のアンダーグラウンドな場所を探索したいですね。新大久保で立っている人たちの生活をもっと見てみたいし、薬物とかもどういったルートで動いているのかとか知りたいですね。
荒木 それもゲームに関係します?
金子 そうですね。ゲームの世界観として現代モノが多いので、必然的に東京の今に興味があります。都会に限ったことではないけど、人の集まる場所には昼の顔と夜の顔がありますから、昼はともかくとして夜というか”闇”の部分のリアルさを描くことで、よりインパクトのあるメッセージを発信できるのかな、と思います。単純にクラブとかが好きというのもありますけど・・・・・・。
荒木 クラブはどこらへんに行くんですか?
金子 どこということもないんですが、今は大箱が多いですね。若いときはマニアックな店にもよく行ったんですが、今はちょっと・・・・・・。昔のクラブって自動で水が流れなくて、その代わりに便器に氷が置いてあったんですよ。それが解けて水が流れる仕組みになっていて。で、朝の4時頃トイレに行くとそれがすべて血だらけになっていて。
荒木 えっ、なんで?
金子 要はケンカですよね。グループ抗争みたいな。まぁ怖い思いとか痛い思いもしたけど、ヤンチャな時期にそういうものを見たり聞いたりしたことは、今の自分にとって大事な要素になってますよね。
荒木 でも東京が舞台なら東京がいいですよね。私が”スタンド”という概念を思いついたのは、エジプトなんですよ。というのは、向こうの人達ってすごく怪しいじゃないですか、見てくれが。それで全員悪党だと思って。
金子 ウハハハハハ。
荒木 こん中の誰が敵でもおかしくないなと。で、その人間を信用できないというか、いくら親切にされても、なんか怪しいんですよ。
金子 なんか腹に持っているんじゃないかと。
荒木 それで悪の力というか、もうひとつの力というか、スタンドを思いついたんです。
金子 ああ、だからマンガは最初エジプトから始まったんですか!?
荒木 そうなんですよ。まぁ、編集担当さんがエジプト好きだったというのもあったんですが。住んでいる人達のパワーがホントすごかった。
金子 やっぱ行ってみないと分からないことありますよね。
荒木 そこから近くの人は力が強いだろうけれど、遠くにいる人は力が弱いとか。いろいろとルールを作ったんです。
金子 何でもできちゃうとつまらないんですよね。荒木さんのマンガは弱いところがいいんですよ。弱点を克服していくとか。ウチのゲームは悪魔を使役するものですから、そこでちょっと違うニュアンスというか、悪魔を守護霊として付けたらどうだろう?ってなったんです。そこからペルソナが生まれたんです。で、守護霊なんだけれど、その属性はインドの偉い神様だったり、どこそこの妖怪だったりしたわけです。ただ名前が示すとおり、ペルソナって”個性”じゃないですか。もうひとつの化身ですよね。そのキャラクターの、なんていうんですか、今の格好や、しゃべり方、やっている仕事までいろいろとあるわけですよ。そういうのをすべてそこに集約してみようと思って。そういった意味ではゲームで自然とキャラクターが動いてくれましたね。

絵を描くようになったキッカケ
荒木 金子さんがグラフィック・デザイナーになろうとしたキッカケはなんだったんですか?
金子 昔っから絵は描いていたんですけど、最初は漫画家になりたかったんですよ。でも、中学時代に女のコにもてたいなってなってきたときに、服装とかもちょっと悪ぶってみるとか、そっちにいこうとしちゃって失敗したんです(笑)。で、ある一定の年齢になったときに仕事何をやろうかなってなって、ミュージシャンにもなれないし、なんにもなれない。そして最後に残ったのが絵だったんですよ。で、会社に入ってみたはいいですけど、自分の力がたいしたことがないなってまたまた判明して、そこから努力した感じですかね(笑)。
荒木 私はね、学校のクラブで剣道とかやっていたんですが、一回も誉めてもらったことがなくて。勝っても負けても。でも漫画描いたときはね、「上手いね!」ってみんなに言われたんですよ。だからその気になりましたね。あと友達にね、すげぇ喜ぶヤツがいたんですよ。「これ最高じゃん!」みたいな。
金子 ハハハハ。既にその頃から編集者みたいなのが側にいたんですね。
荒木 そうそう編集者みたいなのが(笑)。で、ほんとその気になってきてさ、じゃあ明日もちょっと徹夜して頑張ろうかなって。この絵柄だとやはり永井豪さんですか?
金子 そうですね、永井先生の影響は強いですね。あと仮面ライダーとか、怪獣とか・・・・・・。
荒木 あ、怪獣の影響はあるね、絶対!
金子 怪獣の名前とか全部言えるんじゃないですかね。ライダーカード見せられても、怪人の名前全部言えますからね。でもおもしろいのが、デザインしていくうえで資料とか調べていると、その元ネタが分かってくるとこですね。ウルトラセブンの怪獣とソックリの土偶を発見したりとか。
荒木 ああ、あるある。
金子 鎧をモチーフに服のデザインをしようかなって思ったときに気付いたんですけど、鎧を省略していくとウルトラマンのコスチュームになるんですよね。西洋甲冑を線だけで模様にしていったりするとなるんですよ。
荒木 究極の抽象画ですね。ピカソとかもアフリカの仮面とかを見て、どこまで簡単に描けるかと試していたそうじゃないですか。同じですよ。確かにウルトラマンの形は究極ですよ。スヌーピーとかも絶対真似できない形なんですよ。あんなの描けない、普通。
金子 どうしてああしようと思ったんだって思いますよね(笑)。
荒木 ウルトラマンもこれ以上簡単にしてカッコイイのはできないですよ。
金子 それに誰にでも描けますからね。だからあとからあとから増やしていくのは簡単なんですよ。でも削ぎ落としていく作業はホント難しい。

いよいよファッションについて
金子 普段はどういう格好をしているんですか?もっとキチッとしているんですか?
荒木 めったにネクタイとかする格好はしないですよね。でも、なんか自分にしっくりくるブランドとかってないですか?ブランドでも絶対に似合わないっていうのがあるんですよ。プラダとかは着ても合わないんです。自分じゃないというか。あとグッチもダメ。
金子 確かにそういうのはあるかもしれませんね。僕はゴルチエが多いんですけど、よく買いに行くんです。それで結構馴染みなんで、「マンガ家さんとか来る?」なんて聞くとジャンプ系のK・Mさんとか、T・Bさんとか来ているらしいですよ。K・Mさんなんかは一度にウン十万くらい買っていくそうで。「すげぇーな!」とか思いますよね。T・Bさんは友人とか彼女に買っていくそうですけど。「なんかマンガ家もいろいろやってるなー!」とか思いましたね(笑)。
荒木 僕は買い物自体あまり行かないですね。ブランドではベルサーチとかドルチェ&ガバーナとかですね。でもそんなにドカッといかないですけど。でも、ファッションといえば、モデルとか眺めているのが好きですね。モデルってなんか妖怪っぽいじゃないですか。首をひねっていたり、口が異様にでかかったりとか。そこらへんがクルときがあるんですよ、ビビッと。で、模写していくと次第にジョジョのキャラクターっぽくなってくる(笑)。腰をくねらせて立っていたりとかね。ねじらせるのは、もうイタリアの定番なんだけど。
金子 そういうのがジョジョとかの謎のポーズと化していくんですね。「ズキューン!」とか、血管つかんで「コリコリしてるぞぉ~!」とか(笑)。ペルソナで体力を回復してくれる妖精が登場するんですが、その妖精の名前がトリッシュっていうんですよ。名前はファッションモデルのトリッシュ・ゴフからとったんですよ。まだ彼女がそんなに有名じゃなかったときに、「あ、このコ可愛いな!」って思って。名前もおもしろいし。でも、しばらくしたら超有名になっちゃって「ヤベぇー!」とか思って(笑)。
荒木 でもその頃から彼女のことを知っていたのはスゴイですよね。私がトリッシュ・ウナを考えたときは超売れていたときだから。
金子 モデルの名前ってみんなカッコイイじゃないですか。シャローム・ハーローとか。
荒木 彼女もでっかいつり目でカッコイイですよね。
金子 最近大ぶりな人よりも細身のモデルのほうが多いですよね。デボン青木とか。
荒木 デボン青木も不思議な感じだよね。
金子 彼女、ロッキー青木の娘だって知ってました?
荒木 え、そうなんですか?誰ですか、ロッキー青木って(笑)。
金子 レストランのベニハナって知ってます?
荒木 あー、ハイハイ。
金子 あそこのオーナーなんですよ。それはそうと仗助(ジョジョの奇妙な冒険四代目主人公)あたりがフェレがどうのとかあったじゃないですか。だから荒木さん好きなのかな?って思って。
荒木 でもホントはこれ描いても分かんねーだろうなって思いながら描くんですけどね。
金子 モスキーノとかね。
荒木 ああ~、モスキーノも良かったね!あれが出たときはびっくりしたよ。ピース・マークのデザインとかになるんだよね。
金子 ダブルのスーツとかもスゴク特徴的で。ボタンが目の代わりになっていたりして、顔になっちゃうんですよね。最近のデザイナーではジョン・ガリアーノとか。アレキサンダー・マックイーンとか。スタンド使いにもいるけど(笑)。
荒木 あと僕はロベルト・カバーニですよね。いるんですよ、最近出てきた人が。東京にはお店がないんですけど。危な系のお姉さんの格好なんですよ。ああいうのは「いいなぁ!」とか思いますね。

作品の根底に流れるもの
金子 荒木さんの作品って、ものごとを例えて言うじゃないですか。それってなんかシェイクスピアっぽいというか、日本の文学やドラマ、マンガにもあまりないですよね。
荒木 でもね、梶原一騎さんとかがやっているんですよ。「小さい人間が大きい人間を投げるには、自分はチビだと思わなければいけない!」みたいな(笑)。そういう概念にクッと感動するんですよ。「うまいこと言うなぁ!」って。読んでいたのは小学校4年生くらいなのに、なんか感じるものがあったんですよ。
金子 僕は荒木さんが梶原一騎を読んでいたこと自体ドキッとしましたよ(笑)。なんかかなりイメージと違いますよね。
荒木 じつは『巨人の星』から入っているんです。
金子 ウソ、マジっすか!?
荒木 小学校1年くらいだと思うんですが、その頃から・・・・・・。これはあまり言っていないことなんだけれど、最初マンガを持ち込もうとしたのは『マガジン』だったの。でも、たまたまそのときに梶原一騎が『マガジン』で連載してなくて、じゃあ『ジャンプ』のほうがいいやって(笑)。
金子 えっ、スッゲェ意外(笑)。
荒木 外国好きっていうわりには、貧乏人がのしあがっていく話も好きなんですよ。
金子 単行本に出ている写真とか見させてもらうと、こう言っちゃあ失礼ですけど、なんか育ち良さそうだなって思うんです(笑)。
荒木 ハハハハ。
金子 それでまた、岸辺露伴の話なんか書いてしまうもんだから、なおさら「大丈夫なのかな?」なんて思われちゃっているかもしれませんよ(笑)。
荒木 でも、金子さんもなんか意外ですよ。もっと怖そうなイメージがありましたから。
金子 よくそう言われるんですけどね。性格俳優ぽいって。ホントは気さくなやつなんですよ、こう見えて。僕はマンガといえば『天才バカボン』ですね。
荒木 あ、赤塚先生(笑)。それもそれで何かあれですね~(笑)。スゴイですよね。
金子 なんかあの、シュールな世界観がたまらなく好きなんですよ。だってタモリを育てた人ですよ!ある意味タモリを飼っていたんだから、個人用として。それでプロデュースしたんですよね。
荒木 世界観といえば、私はキリスト教の学校へ行っていたんです。だから毎日聖書を読んでて、自然とそういう考え方っていうのは染みついていますよね。
金子 ホントですか?カトリックですか?
荒木 いえ、プロテスタントだったんですけど。聖書で弟子が裏切る場面とか、子供の頃は「なんだろう?」とか思っていたんですが、大人になるとね、重いものがあるんですよ。いろんな文学のルーツもそこに含まれていて、いろいろとネタが分かってきて。でも、僕の場合は神様を信じているというよりも、いるって感じですね。具体的に言うことは難しいんだけど、運命とかも含めてね。それで作品の根っこのところにそういうのがないと、怖いことになるんですよ。「自分は何で漫画を描いているんだろう?」ってね。ただお金を稼ぐためなのかとか、女のコにもてたいだけなのかとかね。なんかね、それがいつかヤバイことに感じるようになってくるんですよ。でも、そこに正義だとか、人間愛だとかがあれば頑張れるっていうか。
金子 確かに人間愛とかがないと描けないですよね。お金とかがついてくるのはもちろんいいんだけど(笑)。でも、ただそれだけのためにやっているんじゃない。
荒木 やり続けるためには、そういうのが必要なんじゃないですかね。
金子 人間生きていくのはなぜ?って考え始めると、それはそれで難しいものがあるし。
荒木 こういうね、運命とかを描いていると「何でこの人ここにいるんだろう?」ってなってくるんですよ。それは主人公に思い入れがあればあるだけ強くなる。RPGなんか作っている人はもっとそういうのがあるんじゃないですかね。
金子 そうですね。キャラクターの必然性なんかについて考えてしまいますよね。動物とかって地球上に循環として存在しているじゃないですか。ミミズだって土を浄化するために生きているし、子孫を残すことが目的じゃないですか。でも人間だけは別のことをやっている。
荒木 でも、そういう世界が前面に出てくるとダメなんですよね。下の下のほうにあって、見えちゃダメなんですよ。無いともっとダメなんですけど。マンガだけじゃなくてね、音楽も何もかも。