ジョジョの奇妙な研究所

ジョジョの奇妙な冒険について色々と研究しています。
コミックスとジャンプ掲載時の違いや、ジャンプにしかないネタなどがメインになります。 所長:TOK

読むジャンプ (2002年12月3日号 週刊少年ジャンプ特別編集増刊)の特別対談
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読むジャンプは乙一氏が『THE BOOK』以前に書いた没原稿『テュルプ博士の解剖学講義』の導入部分のみが載っています。

「僕にジョジョのノベライズをさせて下さい。大好きなんです!」そのひとことが、漫画界の巨星・荒木飛呂彦先生と小説界の若き俊英・乙一先生を出逢わせた・・・。
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荒 最初、「乙一」って「おといち」さんだと思ってました。
乙 「おといち」でもうばっちりです。「きのとはじめ」と読んだ人もいますから。
編 乙一さんは、子どもの時、少年ジャンプの発売を待ちこがれて買いに行ったほうですか?
乙 行ってました。福岡は火曜発売だから月曜発売のところが羨ましくてしかたなかったです。
編 やっぱり『ジョジョ』を・・・。
乙 読みます。
編 『ジョジョ』をそんなに気に入ったところって、どこですか?
乙 ほかの作品にない、何かがありましたね。
編 荒木先生は「ほかの作品と自分の作品はこう違うんだ」というものは・・・。
荒 ないですね。ただ、何かね、僕は人から誤解されることがすごく多いんです。例えば兄弟の中ではね、妹が悪いのに僕のほうが怒られたり、無実の罪というか、そういうのが子どものときから多いんです。あと、何か学校で事件があったとすると、容疑者が僕だったりとか、何か日ごろの言動のせいかもしれないんですけど・・・。漫画も「100%理解されてないのかな」というのがしょっちゅうあって。でも、もうなれてしまって、それでもいいかなという感じで、無理に合わせようとしないんですよね。例えば編集部とかもこうしろとかって言ってくるんですよ。だけど、できないときはちょっとこのまま行くかなみたいな。貫くと言えば格好いいかもしれないけど、何というか、気にしないことにしている。そうすると、自然とこういう感じになるのかなというのもあるんですけど。
乙 僕は編集の人からは、何も言われませんね。
荒 それはいいですね(笑)。でも、無実の罪とかあんまりないでしょう。
乙 いや、ありますよ。それがほんとうに苦痛になって、一本書きました。
荒 あるんだな、やっぱりみんな。
乙 僕はクラスで全然しゃべらないんですよ。それで、ずっと黙っていると、相手が勝手に僕のことを想像するわけです。僕がずっと黙って座っていると、何かこんな人間なんじゃないかとか、勝手に思われていて・・・。それに全然クラスメートとコンタクトはなかったので、普通に生活していると、いつの間にか、全然自分の知らない僕のイメージができ上がって、いろいろな誤解を・・・。
編 例えば根暗なんて言われてた・・・?
乙 根暗。それは正解ですけど(笑)。
荒 誤解じゃないんだ!
乙 研究室配属のいざこざがあって、ちょっと僕が不正をしたような、だめな人間のやることをやったようなふうに誤解されて。でも、あんまりクラスメートとかコンタクトはなかったので、それは誤解だというふうに弁解する相手もいなくて、まあ、しようがないかなと思いつつ、過ごしたりして・・・。多分、今でもそんなふうに思われているんじゃないでしょうか。
荒 でもね、無実の罪もずっとやっているとね、あるとき認められるときがあるんですよ。それを知ると、誤解されていても、何かちょっと時期を待とうかなとか、それを学んでくるんですよ。漫画家になったときに、ちょっとそれを学んだんですよ。学んだというか、そういうものなのかと思うんですよ。認められたのは、やっぱり漫画だったんですよ。少年のときはほんとうに誤解されることが多くて、だけど、何か自分の好きなことで少年ジャンプで賞とかに入ったら、これでいいのかなと思ったとき、それが始まりだったかもしれないですね。やっぱり自分を変えないほうがいいというか、変えなくても、やり続けていると、二年後とか三年後に、だれか理解してくれる人とかが出てきたりとかするんですよ。
編 乙一さんは、ジャンプ小説大賞で大賞をとられてから、何冊か話題の本を出されて、今では世の中に認められた存在ですが、どこか自分の中での変化を感じることはありますか?
乙 うーん、何か微妙です。
編 微妙。
乙 変わらずに、そういうコンプレックスを、恨みみたいなものを、ずっと持っていたほうが、書く原動力になるような気もするし、そうやって認められてよかったという気持ちもあるし・・・。
荒 でも、乙一さんはすごい若くして認められていますよね。最初の作品とかは、友達みんなが「これは面白いな!」とかっていう感じだったんですか。
乙 いいえ。僕の身の回りには、そう言ってくれる人はいなくて、いろいろな人にも黙っていて。
荒 でも、手ごたえみたいなものがあって、「これはいける」という感じじゃないんですか?
乙 賞をもらった時は、何かの間違いだと思いましたね。むしろ「やばい」って・・・。それに受賞した作品は、幼い子供が死体を隠しまわる話ですから、親にすごく心配されました。
荒 それはあるよな。うちのおばあちゃんは、僕が上京したときに、東京で殺人事件とかが起こるとニュースが全国に流れるじゃないですか。犯人は僕だと思って、いつも仏壇に「違いますように」と願ったらしいんですよ。「何で?」って思いますよね。日ごろ殺人の話とかをしているからなんでしょうかね(笑)。
荒 今回のノベライズは少年のキャラクターがいいですよね。これも何か少年の、ある意味、ハリー・ポッター的な成長話というのになっているんですよ、これも。少年がどんどん成長していく話になっていて、そこがもう最高にいいんですよ。これは。多分、読んでないですけども、さっきの兄弟が死体を隠すやつも、そういうふうになっているんじゃないかな。隠しながらも、少年が成長していくって。
乙 なってないですよ(笑)。
荒 そうですか(笑)。
乙 今回書いていて、本当に思ったことは、荒木先生は漫画に何か父性的な感じがするんですよ。
荒 そうなの?
乙 自分の小説の中には、母性的なイメージが自分で見ていてつきまとっていたんです。他社から出した小説とかで。ですから、今度は読者が僕の小説を読んでどう思っちゃうんだろう・・・、そんな気持ちをずっと抱いていました。僕はどう書けばいいんだろうという感じで。
荒 僕は「父性的」というイメージはわからないけれども、でも、自分なりに書いたほうがいいと思うんです。母性的なら母性的なほうに持っていったほうが。
乙 荒木先生が、だれでしたっけ、好きな映画監督で、よくジャンプの目次のページに・・・・・・。
荒 マイケル・マン!
乙 はい。あんな感じの、男対男という戦いがあって、ジョン・ウーの銃を突きつけ合う感覚みたいなのが、僕の考える『ジョジョ』の中にあって、女の子が入る余地のない感覚というのがあるんですけど、僕の書く小説は、何かちょっと女の子が主人公になるパターンが妙に自分で考えて多かったんですよ。こんな『ジョジョ』は女々しいと思われるんじゃないかとかと思って。今回の話も少年がいて、母親がいて、ちょっと女々しいことを考えていて、こんなものを読んで大丈夫かなとか・・・。
荒 それは全然大丈夫だと思いますけど。なるほど、そういうことか。
乙 はい。
編 今回、四部をノベライズしていただきましたが、乙一先生は何部がお好きですか?
乙 どれも好きですね。
荒 でも、乙一さんという名前を聞いて、四部というイメージはすぐパッと来て、ああ、なるほどと思ったんですよ。大体、話が来たときに、何かね、ちらとその人の好みというのがわかるときがあるんですよ、片鱗が。例えばゲームなんかでは、絶対、こいつ、使わないだろうなというキャラクターとかを出したいとかって言ってきたりするんですよ。そのときに、「あっ、この人はこういうことを考えているな」というのがわかるんですよ。
編 普通、ノベライズといったら、それなりのキャラクターというのはみんな出てくるんですよね。
荒 そうですね。
乙 今回は、仗助だけ。でも、もっといろいろな作家さんが四部のノベライズを書けば面白いんじゃないかとか思いましたよ。四部は可能性がすごく残されている感じがします。
荒 そうですね。でも、この作品は、もう殺人鬼の吉良吉影が死んだあとの・・・。時間的にそうですよね。
乙 そうです。そういえば、仗助はその後はどうなったんですか? 進路とか。
荒 だから、そこで世界は閉じてて永遠の時を刻んでいるから。だからこそ、乙一さんが書けるんですよ。どこかに出てきちゃだめなんです。康一君はそういう語り部なんで、出てきたりしますけれどもね。
編 先生は、スタンドをお書きになるときに、必ずロックバンドの名前を・・・・・・。
荒 今回は悩んでんだよね。
編 そんなにやっぱりロックばっかりお聴きになっているんですか。
荒 いや、そういうわけじゃなくて、何かね、統一したいんですよね。そうすると、マニアがね、知っている人も知らなくても、何かこうくすぐられるところがあるというか。
編 乙一さんは、ロックはあんまり聴かないんですか。
乙 あんまり聴かないです。でも、『ジョジョ』を読んで知っちゃったんですよ。レコード屋に行って、「あっ、ジョジョで出てきた人だ」とか思って。
荒 そうですね。スタンドの名前がわからない人は別にわからなくていいんですけど。でも、今回のスタンドの名前、乙一さんに頼まれているから、ちょっと悩んでいる、どうしようかなって。乙一さんの作品を、壊しちゃいけないなとも思うし・・・。
乙 名づけ親、よろしくお願いします。
荒 考えてみますけど・・・。
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MEN'S NON-NO 2002年7月号のインタビューより

"奇"と"美"を愛す。漫画界の若き巨匠
『魔少年ビーティー』『バオー来訪者』『ジョジョの奇妙な冒険』・・・・・・。独特の絵、スリリングなストーリー、奇妙かつエレガントな世界観を持った作品で知られる漫画家・荒木飛呂彦。圧倒的な支持を集める各作品の連載秘話からプライベートの話題まで、完全網羅のディープインタビュー!
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少年時代
 意外だっていわれるんですけど、少年野球をやってたんですよ。でもね、団体スポーツの不条理な部分が嫌で。「オレのほうがうまいのに、なんであいつがレギュラーなんだ」とか思ったり。わがままだったのかもしれないけど、居場所がないなと思ってましたね。自分を抑えてまでやる意味もわからなかった。それで中学から剣道を始めたんです。「もう野球みたいなチームスポーツは絶対やらんぞ」と心に決めて(笑)。そのころからですね、自分は集団に合わない性格なんだって気づきだして。ひとりで本を読んだり、絵を見たり、描いたりしてる時間の心地よさに目覚めた感じですね。ひとりでその世界に浸ってる状態が楽しかった。

双子の妹
 今にして思えば、ひとりの世界が好きっていうのは、家族関係も影響してると思うんです。僕には4つ年下の双子の妹がいるんですけど、彼女たちの存在は相当大きい。小さいころの話ですけど、例えばおふくろがおやつにケーキを3つ用意してくれていたとするじゃないですか。たいてい、僕より妹たちのほうが帰宅するのが早いから、先に食べてますよね。そうすると、「(お兄ちゃんの分も)食べちゃえばわかんないんじゃない?」とか思うんでしょうね。妹どうし、結託して僕の分も食べちゃうんですよ。僕だって、くれって言われれば別にあげるんだけど(笑)、なんかこう、知らないところでよくだまされてたっていうのかなぁ。ケンカしたりしても、僕は悪くないのに、2人いっぺんに泣かれたりすると、こっちが悪い気になってきちゃう。もうね、常に無実の罪を着せられてるような気持ち。だから家に帰るのがだんだん好きじゃなくなってきちゃった。妹どうしの絆の強さを目にしてたから、妙な疎外感を感じちゃってて。精神的なひとりっ子ですね(笑)。そういうわけでよけいにひとりで何かを楽しむことが好きになったんだと思う。別に今はふつうの仲ですよ、妹たちとは(笑)。

熱中していた漫画・小説
 当時は『巨人の星』とか梶原一騎の漫画にはまってましたね。もう人生まで教えてもらったと思ってます。もう少し経つと『あしたのジョー』とかにはまってました。もちろん手塚先生の漫画も大好きだったんですけど、毎週発売日に走ったのは、梶原先生の漫画だったな。中学に入って剣道を始めたのも、今思えば梶原漫画の影響だったと思います。漫画以外だと、江戸川乱歩シリーズとか、シャーロック・ホームズシリーズはよく読みましたね。そのころはすでに漫画のようなものを描きだしてたのかな。でも不思議と、人気キャラクターを模写してたって記憶はないんですよね。最初から、こう自分の世界で描いてたというか。

高校時代
 高校時代(※)って、だんだん自分の進路とか将来がリアルに感じられてくるじゃないですか? 僕の性格上、どこかに勤めるという生き方はできないなって思ってましたね。ちょうどこのころ、漫画の力というものをね、考えたりしたことがあって。読む人にページをめくらせる力、次の展開を待ち遠しいと思わせる力、発売日と同時に走って買いにいかせてしまう力・・・・・・。やっぱり漫画の力はすごいあるなと思って。このころからですね、漫画家になりたいって強く思うようになったのは。
 漫画では、横山光輝先生のサスペンスものにもはまってましたね。梶原先生の熱くて「のし上がっていくぜ」的な漫画とは全然違うんですけどね。こう、もっと動機とか駆け引き、事件性をドライに追っていくという感じ。その一方で、学生服を着た少年が古代遺跡で活躍したりするような、心地よい違和感もあった。こういう漫画もあるんだなって新鮮でしたね。
ほかに印象的だったのは『蠅の王』という小説。これも考えさせられた。『十五少年漂流記』とモチーフは似てるんですよ、少年たちが無人島に流れ着いて、っていう。だけど『蠅の王』では、子どもたちの間で派閥争いが起こったり、しまいには殺し合いみたいなことになってしまうんです。僕には、断然『蠅の王』のほうがリアルだったな。
 初めて投稿した作品がジャンプの選外佳作に選ばれたのもこのころでした。ページの下の角のほうに小さく名前が載ったりして。それはすごいうれしかったなぁ。今までの人生でいちばんうれしかった出来事かもしれませんね。
※高校時代はロードレース部に所属。得意科目は理数系、苦手なのは英語だったとのこと。

専門学校時代
 何回目かに投稿した作品で、画力が不足って批評されて。じゃぁ、絵がうまくならなくちゃいけないと思って、高校卒業後、地元の仙台のデザイン専門学校に通うことにしたんです。
 当時、仲のいい友達のなかに、やたらと僕の作品を誉めてくれるやつがいたんですよ。今思えば、たいした漫画じゃなかったと思うんだけど、「おお、いいなぁ、すげーなぁ。また読ませてくれよ」っていつも言ってくれてて。ほら、人間のせられると気分もいいし、やる気がでるじゃないですか(笑)。その言葉にはだいぶ励まされたし、助けられましたね。
 そうこうしながら投稿を続けてるうちに、ふと東京の編集部まで直接持っていこうと思い立って。そのとき見てくれた編集の人には、ホントいろいろ言われましたね。「ここはダメだ。ここにはこういうエピソードを入れて」とか。絵の矛盾や歪みも全部指摘されて。当時はまだ作品の最初と最後で、キャラクターの絵が違ってきちゃうようなこともありましたから(笑)。でもそうやって直しを入れた作品のほうが全然よくなってるんですよ。それは自分でも実感できるほど。アドバイスを受けて直しを入れたこの作品が、僕の初めての入選作になりました。

『魔少年ビーティー』
 僕の連載デビュー作ですね。まだ仙台で描いているころです。この作品は当時、編集部で猛反発を受けたんですよ。いじめの描写もでてくるし、主人公もちょっとダークな側面を持ってましたからね。タイトルからして”魔少年”だし(笑)。清く、正しく、美しくじゃないけど、当時の風潮とは完全に逆を行く作品だったから、あやうくボツになるところだったんです。それを当時の編集の人が編集長を説得して救ってくれたという。何年か経ったあとに当時の編集長が「こういう時代になるとは思わなかったなぁ」と言ってたというのは聞きました。
 『魔少年ビーティー』は、小さいころに読んだシャーロック・ホームズの裏返しという意味合いも強かったですね。ビーティーがホームズで、友人の公一がワトソン。公一の語りで話が進行していくとか、ビーティーのセリフすべてにいちいち意味があるというのも影響のひとつですね。あとは白土三平先生の『カムイ伝』『サスケ』かな。どちらも僕の好きな作品です。トリックの種明かしにページを割くっていう構成でも影響を受けてる。絵もそういうところあるかな。ビーティーがどこかカムイに似てるような(笑)。

『バオー来訪者』
 『魔少年ビーティー』でトリックやテクニックを使ったいわば知的な作品をやったので、なんとなく次は肉体がテーマかなと思っていたんです。スタローンやシュワルツェネッガーが人気の時代だったし。それともうひとつ、世界的に遺伝子操作が騒がれだした時代だったんですよね。『バオー来訪者』は、そうした流れのなかで生まれた作品です。遺伝子操作で作り上げられた究極の生命体の話ですね。人間の本質とか、本当に強い人っていうのはどんな人なんだろうということもテーマにありました。自分の絵をいちばん模索してたのもこのころですね。

『ジョジョの奇妙な冒険』①
 究極の生命体という、いわば“バオー”を発展させた考えの先にあったのが吸血鬼。不老不死というのもぴったりだし、相手の血を吸う、生命を取り込んで生きているというのも、究極の生命体にはまってた。吸血鬼ってダンディーなイメージもあるでしょう。それもよかったんです。
 それでいよいよ、担当の編集の人に「次は吸血鬼を敵にした作品にします」ってことを伝えたんですよ。そしたら、彼がまたそういうダークな世界が好きな人で。僕がその話をしたときに、妙に目が輝いてた(笑)。専門学校時代の友達じゃないけど、うまくのせてくれる人が近くにいるとね、僕はどうしてだか、そっちに行っちゃうんですね。

『ジョジョの奇妙な冒険』②
 “ジョジョ”は、壮大な大河ドラマにしたいと思ってたんです。吸血鬼の存在が噂されたのが1880年代だから、第一部はその時代から始まるということを決めて。その後、子ども、孫と現在まで続いていくような話にしたいと。ほかに決めてたのは、主人公の愛称をみんなジョジョにしようってことぐらいですね。波紋やスタンドも当初のアイデアにはなかったんです。

ルール
 吸血鬼って夜にしか活動できない、十字架に弱いという、規制というか、ルールがありますよね。ルールがあるからこそ、漫画は面白くなる。話はちょっと違うかもしれないんですけど、僕は、自分で自分に課したルールに従って生きている人間やキャラクターにすごく惹かれてしまうんです。自分のルールに従うことで、たとえ立場が不利になったり、窮地に追い込まれたとしても、それを最後まで貫く。そこがたまらなくかっこいい。承太郎がどんなときでも帽子を脱がないというのも、ルールです(笑)。

いちばん好きなキャラクター
 そのとき描いているキャラクターがいちばん好きですけどね。強いていうなら、第4部の仗助かな。1999年の設定だったんですけど、彼は学ラン姿に気合いの入ったリーゼントスタイル(笑)。「そんなやついね~よ」って話なんですけど、貫いてるでしょ? だからかっこいい。それに彼は自分が父親や先祖から受け継いだものをしっかりと自覚している。仗助はジョセフの浮気相手の子どもなんだけどそこに悲壮感はまったくないし、ハッピーに生きてるってところもいい。何より心に熱いものを持っているからね、だからすごくかっこいいんですよ。

女性キャラクター
 以前『コージャス☆アイリン』を描いたときにですね、女性を描くことに限界を感じてしまってたんですよ。例えば主人公の女の子が敵を殴る、殴られるというシーンがあるじゃないですか。それがもうすでに不自然というか。僕にはあまりリアルじゃなかったんですね。まだまだ女は女らしくという時代だったし、アイドルだってかわいければいいという感じでしたから。だからね、逆にいつかは女性の主人公をもう一度描きたいって思ってたんです。ほら、今って殴られてすぐさま殴り返す女性を描いたとしても、とってもリアルじゃないですか(笑)。女性が強いということがリアルな時代。第6部のジョジョが女性っていうのは、そういう時代性もありますね。
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過去の作品に対する思い
 僕にとって過去の作品は日記みたいなもの。記録なんです。ほかの作家の方はどうかわからないけど、どの作品でも「あれは失敗したなぁ」とか「自分の歴史のなかで、なかったことにしたい」なんて気持ちはまったく起きないんですよね。例えば前のページでは右足をケガしてるのに、後ろのほうでは左足になってたなんてことがあっても(笑)、それはそれでいいと思っちゃう。コミックとして出版されるときには、やっぱり書き直してほしいって言われるんですけどね。それでも僕は、「できればそのままにしておきたいなぁ」と。直したくないんですよね。汚点もまたよし。それも含めて僕の記録だと思ってますから。

イタリア
 食べ物も街並みも全部好き。イタリアは本当に好きですね。興味ないのはサッカーぐらい。ファッションも好きなんですよ。とくに80年代のベルサーチ(※)とかね。「こんな服ありかよ」ってぐらいパワフルだったでしょ。巨大な金の鎖がシャツ全体に描かれてたりとかね、初めて見たときは相当ショックを受けました。もちろん“ジョジョ”のファッションのルーツもこのヘんにあります。踊ってるような、ねじれてるようなポージングも影響受けてるなぁ。奇抜でエレガントな衣装に妙なポーズ(笑)。全然ありですよね。
 ほかにイタリアというと、怪奇庭園もいいですね。変わったもの好きの貴族が、お金と権力にまかせ集めちゃいました、みたいな美術館とかも好き。やっぱり奇妙なものに惹かれるなあ(笑)。でも自分自身はモノに固執しないんですよ。コレクターじゃない。持ってる本も完全に資料ばかりですし。そういえば、車の免許も持ってないし、携帯も持ってない。パソコンもやらないしな。でもなぜかボートの免許は持ってたりするという(笑)。変わってるねとよく言われます。
※イタリアを代表するファッションブランドのひとつ。斬新かつ絢爛な色彩や柄も有名。創立デザイナーのジャンニ・ベルサーチは97年に亡くなった。「すごいショックでしたね。彼の新作がもう見られないのかと思うと悲しい」と荒木氏。ちなみに荒木氏は80年代のモスキーノなどからも影響を受けたと告白。現代のデザイナーのなかではジョン・ガリアーノ(現クリスチャン・ディオールデザイナー)がお気に入りとか。納得。

もし漫画家になっていなかったら
 イタリアンレストラン(※)のウエイターとかがいいですね。なんかこう、テキパキ仕切っていく感じの。常にサービスすることを考えていたい。お客の好みを覚えてたりするような、気のきいたウエイターがいいな。
※オフの日など、イタリアンレストランに行くのが楽しみという荒木氏。「以前、イタリアに行ったときなんだけど、ナスを揚げたものにチョコレートをかけて食べるって料理が出てきたんですよ。最初は誰でも『えぇ!』って思うじゃないですか? でも食べるとすごくおいしい。自分にとってなじみのない組み合わせがおいしかったりしたらもう最高ですね。『新発見!』という感じ(笑)」

漫画とは
 僕にとって漫画とは。う~ん、描いてるときの気持ちそのものですね。だから、例えば過去に誰もが認める最高傑作を描いたとして、その作品を超えられないと悩むとか、スランプに陥るってことはない。常に今描いているものがいちばんいいと思ってるし。それに最高傑作といっても、見方によっていろいろ違うものじゃないですか。人によってはアンケートの人気かもしれないし、売り上げかもしれない。自己満足できたかどうかという見方だってある。もちろん読む人それぞれで最高傑作は変わるものだし。
 だからこそ僕は、毎回一生懸命描くってことだけを意識してます。現在進行系の気持ちをぶつけてる感覚ですね。

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閑静な住宅街に佇む荒木氏のアトリエにて。
「道具へのこだわりは特別ないですね。気にしてるとすれば、10年経って、描いたものが薄れてしまうようなインクとか、すぐボロボロになっちゃうような紙は使わないってことぐらい」
と荒木氏。職業柄、徹夜仕事が多いのではと問うと、
「仕事で徹夜はしませんね」
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2002年3月に発売されたSJR(集英社ジャンプリミックス)ジョジョ part3 vol11. DIOの世界編②より
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──『スターダスト・クルセイダース』連載時のことを思い出し、荒木飛呂彦が語る!これまでに語ったことのないことも・・・ファンは必見のインタビュースタートッ!!
 
エジプトを目指す旅にしたのはどうして?
 当時の担当が、エジプトにものすごく詳しかったんですよ。エジプトの古文書とか遺跡とかの文字も読めるくらい。「これはいい!」と。それと、やっぱりエジプトって神秘的な感じがしたからですね。最終目的地はエジプトというのを先に決めて、それからルートを決めていきました。『スターダスト・クルセイダース』の後に、『電波少年』で猿岩石が旅したルートも大体同じでしたね。だから、間違ってはいなかったのかな?取材でエジプトやアジアの国なんかにも行ったけど、あまり好きじゃあないんです(笑)。マンガにも描きましたけど、エジプト人は見るからに怪しいし。ホントにスタンド使いみたいでした(笑)。
 う~ん、好きな国はやっぱりイタリアなんですよ。イタリアにさえ行ければ、他の国にはもう金輪際、行けなくてもいいくらいです。イタリアは、やっぱり美術館にいけるのがいいんです。印刷物とは違って、有名な絵画の実物がある!これは何度でも足を運ぶ価値がありますね。他の人が、演劇とかに行くのと同じ感覚だと思います。でも演劇は、そのときどきに違ったりするけど、美術館はもう、絵画の究極の姿があるわけだから、何度でも行きたくなります。ダ・ヴィンチとか、ロダンとかが好きですね。
 よく自分の絵柄は独特だといわれるんですけど、自分からすると基本に忠実な絵だと思っています。ルネッサンスが絵画のオリジナルですから、僕はそれに忠実に描いているだけです。自分からすると、他のマンガ家さんのほうが異端だなぁと思いますね。
 
どうして承太郎を学ランにしようと思ったのか?
 何度も行ってますけど、やはり『バビル2世』のイメージが強い。学生服で砂漠に立っているというインパクト。今考えても、『バビル2世』のあのコマはすごい。もしあの絵をリトグラフとかで売ってるんだったら、ぜひとも部屋に飾りたいですね。日常と非日常が同時に存在している、というところがいいんですよ。
 承太郎のは、普通の学生服だとつまらないんで、いろいろアクセサリーを付けたりしてみました。ホントはあんな学生服ありませんけどね。僕も中学高校は学ランでした。でも、承太郎みたいなあんな長ランは着てません(笑)。
 
ジョセフはどうして連続登場した?
 ジョセフは第2部『戦闘潮流』との橋渡し役なんですよ。毎回、部が変わるごとに、橋渡し役と出すようにしています。『戦闘潮流』の頭にはスピードワゴン、そしてジョセフ、承太郎、康一・・・というようにね。それに、ジョースター家は短命で、一生涯一人の女性しか愛さないと言われてるけど、ジョセフだけは例外だという設定にもしたかったんですよ。性格的にもジョースター家の中では異端ですしね。
 
アブドゥルはいったいどんな役割?
 アブドゥルは参謀役ですね。本当は、一番年のいったジョセフがそんな役回りをやるんだろうけど、ジョセフの性格じゃあできないだろうと思ったから登場させました。スタンドという新しい概念も登場させたので、スタンドの事について詳しい解説役でもあります。
 
花京院の死の直前に生い立ちが明らかになったのは?
 花京院には戦う動機というのを、ちゃんと考えてあげたかった。花京院が仲間になってからずっと、それは考えていたんですよ。承太郎、ジョセフはホリィを助けるためだし、ポルナレフは妹の件があったりする。でも花京院には何もなかったから、その理由をつけてやりたかった。命を賭けてまで戦う理由を・・・死ぬ間際にそれを描く事が出来てよかったです。このことは、第5部『黄金の風』の仲間たちも同じなんですよ。ブチャラティやナランチャたちの戦う理由をちゃんとつけてあげたかった。だから、それぞれ過去の話、どうしてギャングになったのかをちゃんと考えたんです。
 
ポルナレフは『黄金の風』に登場すると思っていた?
 まずポルナレフは、承太郎と対称的なキャラクターにしたかったんですよ。承太郎はクールでどっしり構えていて、あまり走らせたりもしないと決めていたので、走りまくる、直情的なキャラクターが欲しかった。静と動ですね。ポルナレフは、かなり描いてて楽しかったし、動かしやすかったですね。だから結果的に、かなり活躍してます。あと、髪形もよかった。他の仲間たちがぺしゃんこな頭ばかりだったので、コマの中にポルナレフがいるとメリハリも効いて絵になるんですよ。『スターダスト・クルセイダース』が終って、第4部『ダイヤモンドは砕けない』になってから、ポルナレフはどうしているのという読者からのはがきがとても多かったんです。だから『黄金の風』ではポルナレフが『スターダスト・クルセイダース』の後、どうしているかも描く意味で登場させました。承太郎と同じように、彼も戦っていたんだよ、というのを描いてあげたかった。
 
犬をどうしてスタンド使いに?
 僕は、弱そうなヤツが実は強いというのが好きなんですね、基本的に。ちっちゃくてブサイクな犬が強いというのは面白いんじゃないか?と思って、イギーを登場させました。助っ人として現れて、人間だったら普通じゃないですか。それが犬だったら面白いな、とも思いましたね。『ダイヤモンドは砕けない』では、さらにそこにこだわりました。本体は弱そうでも、スタンドは強い。ドブネズミのスタンドとか、重ちーとかもそうですね。
 
ホル・ホースを仲間にする気はあった?
 ホル・ホースは、仲間にしようかと思ったりもしました。でも、仲間になるヤツばっかりだと面白くないなと思い直して・・・仲間になりそうでならないヤツがいてもいいんじゃないかと。ホル・ホースの性格を考えると、仲間にはならないですよ。けっこういいかげんな性格で、あっちへふらふらこっちへふらふら。コウモリみたいなヤツ。でも、ホル・ホースはもっと登場させたかったですね。ポルナレフと同じくらい、動かしやすいキャラだったし、描いてて面白かった。あと何回か、登場させてあげたかったですね。
 
DIOはいったいどんな存在?
 『ファントムブラッド』の頃から、3部構成で・・・ということは考えていて「3部の最後はDIOを倒すんだろう」とは漠然と思っていたんですよ。『警察署長』というTVドラマにもなった小説があって、代々警察署長の家系の話なんですよ。それでも、最初におきた事件を子孫が解決したりしている。それをやりたかったんです。善のジョースター家に対して、シリーズ全て通して悪の存在がDIO。圧倒的な悪。『スターダスト・クルセイダース』でDIOは倒されましたけど、その後の物語でも、DIOの悪の精神は残っていて・・・ジョースター家は代々、その邪悪な精神と戦っているんです。『ストーン・オーシャン』でも、DIOは出てきませんが、DIOが残した邪悪な精神と徐倫は戦っています。DIOを描く時は、いつも気合が入りましたね。DIOが出てくると、雰囲気もなんか変わるんですよね。マンガの中の空気がこう、張りつめるというか・・・。生き物本来の弱肉強食の世界からすると、DIOのやってることは正しいことなんです。人間が生き延びていきやすくするために作った 、社会の常識ということからは外れてますけどね。弱肉強食の世界から考えると、DIOは普通の行動をしている。DIOを描く時は、自分もDIOの気持ちになってます。・・・こんなこというと、反社会的だっていわれるかもしれないけど、ある意味DIOは自分の憧れの存在です(笑)。
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マンガ オモ! 2002年1月増刊号に掲載
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洋楽しか聞かない理由
 最後にちゃんと聞いた邦楽は、たぶんシーナ&ザ・ロケッツの『ユー・メイ・ドリーム』だと思う。紅白歌合戦はまず25年以上は見てないし、桑田佳佑だとか松任谷由実、宇多田ヒカル、浜崎あゆみ。名前は雑誌でみてすごい有名らしいってのは知ってるけど、どうゆう歌を歌ってる人なのかまったく知らない。
 家にある邦楽アーティストのCDはたった一人、渡辺貞夫。
 どうしてわたしはこんな人間になっちゃったのか?邦楽は本当にまったく聞かない。
 人と邦楽の話がまったくできない。すぐ話題を「浜崎あゆみのマツゲは本物ですか?」などと違う方向へ、持っていってしまう。音楽誌のインタビューで「邦楽ベスト5」をあげてと言われて、教師の前で九九を忘れた小学生のようにこおりついてしまった。
 なぜこんなんなっちゃったのか?
 答えはたぶん自分がマンガ家だからじゃあないかと思う。
 仕事をする時はBGMにあらゆる音楽はずっと流して聞いているのだが、仕事中の自分の意識はマンガの中の登場人物の心情に集中されている。キャラクターの喜怒哀楽を考慮しながら絵を描いてるわけだ。そこにBGMが日本語の歌詞で「わたしは天使なの」とか「寂しさには負けない」だとか「胸が痛い」とか言われると。今そーゆーシーン描いてんじゃあないんだけどなーと、気分的にジャマなのだ。時にはなぜか怒りとかわいてくる歌詞とかあるし、おまえにそんな事言われたくないよ、なんてムキに思ってしまうものもあって、日本語は感情がストレートすぎる、仕事中には向いてない。・・・というわけで、だんだん邦楽は聞かなくなってしまったのだ。と自分で分析する。
 で・・・ずーっと聞いてないとどうなるのか?タクシーとかに乗ったりして、運転手が聞いてるラジオからたまたま半強制的に邦楽を耳にしたりするのだが、これが全部同じ歌手同じ曲に聞こえるような感覚に自分がなってる事に気づいた。
 明らかに感覚の衰退だと思った。音楽は勉強し続けなくてはならないものであるのは確かなようだ。
 ・・・で、わたしは「洋楽だけ聞いてよ」っと思ったのだ。
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季刊Comickers 2001年秋号のインタビュー記事より
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―今回はテーマが「快感」なんですが、「ジョジョの奇妙な冒険」というと謎解きや敵を倒す時の爽快感があって、そこには物語も描写も含めて面白い!という快感があると思うんです。お描きになってる立場として意識してらっしゃいますか?
やっぱりね、善とか悪ってあいまいじゃないですか。ある視点から見れば、悪も良い人かも知れないし。それは青年誌にいくとあいまいなんだけど、少年誌だとハッキリ分けないとダメなんですよ。例えば殺人鬼にも、生い立ちとか生活があったりして、その人を知れば知るほど味方したくなってきたりする。そうすると可哀想な人に思えてくるんですけど、そこを少年誌で描いちゃダメなんです。その人が敵じゃなくなってくるから。キャラは「主人公と比べたら完全に悪い人だ」っていう確実な線引きがあるから快感になるんじゃないかと思うんですよね。
―でも作品中にはそういう生い立ち的な部分も多く描かれてませんか?
だから、そういう部分を描くと快感みたいなものはなくなるかなと思うんですけど、大人の味わいとして「哀しいな」みたいなのは出てくると思うんです。でも最初はとにかく悪いヤツだっていう風に決めつけて描いていかないとダメなんですよ。で、戦いが終わってから味方にしたりとか、バックボーンを描いたり、いろいろしますけど。
―そういう意味では少年誌で悪役の人生を描くと、物語のスピードが止まっちゃうところがある、と。
そうでしょうね。大人のマンガと子供のマンガの区別っていうのは多分そこだと思うんですけど。善と悪がわかりやすいというか。
―子供にはこう、善と悪がハッキリして、たたみかけるようなのが。
でも、「あんまりいつまでも子供でいちゃいけないよ」とか思うんですけど。単純なもんじゃないよ、あとあとの人生は、と(笑)。
―それから画面描写!特に肉体の破壊される描写がすごくて、快感に繋がっていると思うんですよ。
あれはただ、グロく見せようとかそういうものじゃなく、肉体を破壊するってことを絵の楽しさとして描いてるんですよ。例えば、大友克洋先生の破壊って、コップがパズルのように壊れるじゃないですか。部品がハッキリと描かれてますよね。それを人間の体で描くのが面白いんですよ。古い人ですけど、レオナルド・ダ・ヴィンチは人間を描きたいために、「体の中はどうなっているんだろう」って解剖して筋肉のつき方まで見たっていいますけど、そういう気持ちなんじゃないかなと思うんですよね。
―なるほど・・・・・・。でもたまに、重力に反した曲がり方も描きますよね・・・・・・。
(笑)。そこがまた面白いんですけど。
―逆にわざとそういのを描くことが面白い?
そうですね。そういうところ快感かも知れない。絵を描かない人は、大変なんじゃないかとか、一体何時間かかるんだろうなとか考えるんでしょうけど、描いてる人はそういうことをあんまり恐れなくてもいいと思うんです。やってると楽しいですから。実は絵を描いてるところでそういうパズル的な面白さがあって、その辺は気持ちいいという感じがありますけど。
―確かにマンガ全体で感じるんですが、キャラが写実的に立ってるというより、変な格好でこう・・・・・・(と「ジョジョ」ポーズを取る)。
それもね、イタリア美術の影響がすごくあると思うんだよね。彫刻とかを見るのが好きなんですけど、ねじってたりするんですよ。妙なドラマチックなポーズっていうのかな?あれなんですね。こうね、腕の片方が上がるともう片方がグッと入るとか(と体をねじる)、一つのキマリ、流れがあるんですよ。なんか見てると分かるんですけど、そういうのが面白いんだよ。ねじるとさらに面白くなってくるというか。
―きちんと立つものじゃなく、ねじったりする方に魅力を感じるという。
普通じゃないっていうんですかね。普通に描いてたら普通の絵だけど、絵ってちょっと変な感じを取り入れるともっと面白くなると思うんですよ。ちょっと気持ち悪いとかね。まるっきり美しいよりちょっとケガしてるとか。
―純粋な造形美よりも、そこになんらかのドラマ性だとか、別な何かがある方がいいという感じですか?
そうでしょうね。写真とかでも完全な美人よりちょっとニキビがある方が面白いと思うんですよね。どうしちゃったんだろう?みたいな(笑)。だから、ちょっと変なものがやっぱ面白いと思うんですよ。その辺はまだ子供には分からないところもあるかも知れないんで、ツライとこではある(笑)。でも、中学とか高校になってきたら分かるんじゃないかな、って思うし。今のうちから教育しておけば(笑)。
―それから、コマ割りについてお聞きしたいんですけど、あの・・・・・・昔より変型ゴマ増えてますよね?ナナメに切ったりしてて、自在に操れるようになってるというか。
そうですか?まっすぐのコマもあると思うんですけど(笑)。ナナメになってたりするのはね、指が切れたりするからなんですよ。まっすぐにしてると小指が入んなかったりするので、コマの方を動かしてる、というか。
―じゃあ、重要な絵のためにコマの形を変えるという?
そうですね。あと、フキダシが入んないから、フキダシを作るためにずらすっていう(笑)。
―でもそれだけじゃないような気が・・・・・・。たまに丸いのとかありますよね。
ありますね。あれはほとんど表情ですね。目の動きとか。ただそれだけですね。
―それはご自分でパターンみたいなものがあるんですか?
そうですね。ちょっと欲しいと思うんですよ。主人公が何を考えてるかわかんないなと思ったときとか、ネームの後で足りないなと思ったときとか。で、丸いからどこにでも入るんですよ、アレ。
―ああ、逆に四角いコマ入れると一コマ割り直すことになっちゃうからですか。じゃあ、変形ゴマを使った見開きで迷宮的な空間を創ろう、ということではないんですね。
そういうのはないですね。構図のためですね、あくまでも。あとやっぱりアクションの時はナナメになっちゃいますね。意識は全くしてないです。でもあんまり重要じゃないと思うんですけど。
―でもあれは一ページ単位でバランスを考えてやってるのではないんですか?
一ページ単位というか全体で見たりはしますけど、ちょっと暗くしてから明るくとか。黒っぽいコマにしてからちょっと明るい広めの構図取ったりとか、そういうのは前後見てかないと分かんないので。
―だから読者としては結構ビックリするコマ割り・ページ割りが多いんですよ。それはどこをポイントにして描いてるのかなと。
つまり、「ここは」っていう見せたいコマが絶対あるんですよ。ストーリーはそれに付属してるじゃないですか。だからだと思うんですよ。最初にネームの段階でそのコマがあって、説明的な人物のセリフなんかは次の重要度だから小さくして、というか。だから、絵で見てる人はここだけ見ればだいたいの話は分かる、細かいところはそこのセリフを読んでくれ、と。
―じゃあ、パッと見てもストーリーが分かるという構造になってる、と。
そうですね。絵を描いてる仕事なんだから絵を見て面白くなきゃマンガじゃないと思うんですね。ネームも重要ですけど、絵に魅力がないと。基本は絵描きじゃないですかね。作家とか、映画監督とかよりも自分的には重要だと思うんですけど。
―では、キャラクター造形でいうとどんなところを一番重視してます?
まず動機ですね。何で闘ってるのか、何で銀行強盗するのか、とか。そういうところをきちっと決めてくというのが大切だと思うんですよ。だから、ロボットマンガ描きたいな、と思ったら、何でロボットに乗ってるのかが一番。いきなり乗ってて闘うのは、なんだかわけわかんないですから。
―なるほど。背景が読めないと物語に信憑性がなくなりますからね。
そう。だから、そこが一番大切じゃないかと思うんですよ。で、動機が決まるとね、いろんなものが決まってくるんですよ。関連して決まってくる。こういう性格で、ちょっと勝ち気で、でも虫には弱くて、弱点はこうだとかね。どんどん面白くなってくるんですよ。だから、動機が基本で、徐倫とか、ジョルノとか仗助とかジョセフもそうだったんじゃないですかね。そうしていくと、その動機は親だったり、先祖からの因縁だったりするんですよ(笑)。「ジョジョ」の場合はそういうところですね。あと社会の圧力だったりとか、そういうのが多いじゃないですか。それに対して自分はどういう風に思ってるのか、という風に決定されていくと思うんです。
―確かに「ジョジョ」では闘う動機とか性格などを血として受け継いでいってますよね。
そうですね。やっぱり、因縁というのはあるんじゃないかと。あとね、マンガを描いてると哲学的な境地にまで考えが及んだりすることがあるんです。そもそも主人公は何でここにいるんだろうな、と思うわけ。描いてると、どうしてこの人は生まれてきたのかなという所まで考えちゃうんですよね。そうすると人間って何でいるんだろうなというところまでいくんですよ(笑)。神様っているのかなとか、何で人間は地球にいっぱいいるのかな、みたいなさ。そういうとこまでつい考えてしまうんですよね。描けば描くほどそういう風になってくるんですよ。で、動機にに戻りますけど、マンガ描く人はまず動機を決めるべきだと思うんですね。そうするといろんなものがとにかく不思議にできてくると思うんですよね。拡がってくるというか。あと、人とちょっと違ったものにしようという意識が必要というか。なんか見たことあるヤツだな、っていうのはちょっとやめたり。
―じゃあ、キャラデザインも生き方や動機の設定という部分とリンクさせた方がいいんですか?
そうそう。それも一致するというのが基本ですよ。で、動機というのはやっぱりね、その作家のものの考え方、一人一人の見てきたもの、経験なんじゃないかと思うんですよね。
―なるほど。それから、すごく巧妙な物語のトリックについてお聞きしたいんですが。
それはまず、何を描くかを一個決めて、それに合わせていくっていう感じです。先週からの続きっていうのもありますけど。例えば、岸辺露伴だったらマンガのためならクモでも喰う、みたいなことを決めて、その週は彼がどういうヤツかっていうのだけ描く。だから、二個も三個もあるのは絶対ダメです。二個も三個もある時は次の回にまわして、一つだけでいいんですよね。
―その一つを展開させるためにエピソードを作るという感じで?
ええ。クモまで喰うのは面白いなと思ったら、その前から何か変なヤツだなって風に展開させていって、「あ、やっぱり変なヤツだったよ」っていう流れにするんです。で、「こいつが敵かよ?ちょっとやばいんじゃないの?」って思わせたりとか。主人公としてもどうしていいかわかんなくて、「どうやって闘うんだよ?」って思うじゃないですか。
―確かに!そういうのはすごくスリリングで怖いですよね。
あと、物語の進行の基本がサスペンスにあるっていうのかな。そこが人と違うのかなといつも思ってるんですけど。ナゾとかが基本というか。サスペンス映画が好きだから、始まって何分後にナゾが出てきたとか、人が死んだとか、そういう風な起承転結やテクニックをすごい勉強しましたね。とにかく起承転結が好きなんですよ。やっぱ四コママンガ的な基本というか。食事とかも前菜、スープ、メイン、デザートみたいなのが好きなんで(笑)。
―最後に、少年誌っていうのは人が初めて見る物語の媒体の一つだと思うんですけど、それに関して意識してることはあります?
いや、それはほとんどないですね。でも、例えば子供を殴っちゃいけないとか、最近ちょっと規制が増えたので、逆に描きづらいかも知れないですね。でも、少年誌という意識は自分では全然してないです。だってそれを意識してたら、外人を主人公にしちゃダメだよとか、主人公殺しちゃダメだよとか(笑)、さんざん言われてきたことをやってるわけで。でもそういうのは打ち破っていかないと。意識してたら逆にダメかも知れない。「やるな」っていうことをやるのは人間好きだから(笑)。でも、タバコを吸うシーンとかは描かないようにしてますね。直接クスリやったりするシーンとか。
―そういう状況があっても、シーンとしては描かない、と。
そう。暴力シーンやエッチなシーンとかはあんまり意識してないと思いますけど。
―そうすると今までわりと自由に描いてきた、っていう感じですか?
それはそうですね。描き直しも何回かはありましたけど。でもやっぱりマンガ家になる人はそういうことをちょっと考えてからやらないと。表現としてはどうなのかな、と思うことはありますから、自分で基準みたいの決めた方がいいと思いますよね。
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インタビュー以外に、ラフ画やプロット、ネーム、下書きの見える原稿と、とても貴重なブツが荒木先生の作画テクと共に紹介されています。

イラストラフスケッチ
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つねに時代のムードを反映させている「ジョジョ」の世界、荒木さんとしては、映画やテレビ、小説などで今流行ってるということは、もう古いということだから描かないようにしているとか。「仗助とか承太郎にピアス入れるとき勇気いったよね。あの時代は一般的じゃなかったから、マンガの主人公がやっていいのか?って思って」。また、最近は入れ墨やタトゥーの模様、グラフィティなどに関心があり、写真集を見ているという。「グラフィティはストリート技術というんですかね。描いてみるとなかなか描けないんですよ。アシスタントにやらせても何か違うんだよね。抽象画っぽいというか、このかっこよさ、悪そうな感じが出なくて。環境が出てくんのかもしれないですね」
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少年誌には珍しくピンクや水色などカラフルな色を使う荒木さん。色味に関しては、聞いてみたところゴーギャンの影響があるとか。「ゴーギャンって、浜辺をピンク色に塗ってバカにされたっていう画家なんですよ。でも、そこがいいなと思うんです。その水色とピンクの対比というか。色の組み合わせにはパワーがあると信じてます。この色とこの色が並んだときに出すパワーとか。力のある組み合わせがあると思うんですよ。地味なヤツもいいですけど。色は古典的なところから学んでたりしてますね」。ちなみにキャラ造形についてはこんな逸話が。「誕生日や血液型、好きな映画を決めるのはプロフィール考えるときの基本で、やらないとダメだと思うんですよ。あと、前は相性占いまで調べてたんですけど、当たってないな、と思ってやめたんです(笑)。動物占いが流行ったらそれもかな、と考えてたんですけどね(笑)」
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これがカラー原稿用のラフ案。左二つは扉ベージの試案で、右は隣のイラストのラフ。ラフ案に関しては机の周りに置かれた『イタリアン・ヴォーグ』などの海外ファッション誌を見ながら、流線で構図のアタリを取っていくという荒木さん。なんと男性を描くときも女性のファッション写真を参考にしているという。「男性の写真って普通に立ってるのが多いから、面白くないんです。例えばスティーブン・マイゼルの写真とかって、体のどの部分なんだコレ?みたいなのあって面白いと思うんですよね。それに印象に残るのはこっちの方じゃないですか」。扉のラフに関しては、このままだとお尻が入らないからずらし、肩や首の角度も直したそうだ。また、注意して描いてる部分は「肩のボリューム、ウエストライン、あと膝下が長い人が好きだね。膝下長いっていうのはカッコイイ条件だから厚底サンダル履く気持ちが分かる(笑)」とのこと。

プロット 
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これが「Act.85 思い出」のプロットで、左側にキャラ名、右側に状況説明とセリフが書かれている。特に荒木さん独特の擬音が大きく描かれていることに注目。青の線ひと区切りで1ページ分の目安だとか。「1回19ページなので、4枚目半ばあたりから入れ込みすぎてちょっと今週やはばいなっていう(笑)。来週送りじゃないのか?って悩みつつ、ここまでは入れないと読者わかんないだろうな」と調整してネームに移るそうだ。「テンポとか構図を考えながら、移動していくんですけど、ネームへいくのも大変でパワーいるんですよね。ページに入りきるかとか、迫力あるように演出できるだろうかとか思って。プロットは好き勝手なこと描いてるんですけど、ネームが基本ですから、やっぱり」

ネーム
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上はプロットから起こしたネーム原稿。「実際描いてみて迫カがないなと思ったら、移動します。これ(下の図版参照)見開きで、ただ三コマですね。振り向いて、矢印なんですけど、敵を襲う。ホントにただの記号として描きますね」とのこと。しかもプロットからネームを起こすときには、すでにコマ割りまで頭の中にできているそうだ。また、コマを割るときのカメラワークについては「カメラの視点は上下左右いろいろなところから撮ったりしないで、同じ視点で寄ったり引いたりとか、そういう構図が多いと思います。作家さんによっていろいろあるんですけど、私の場合はアクションとか起こさない限り、ずっと定位置なんですよ。だから回り込んで寄ってたりはしないんです。物語の、カメラの視点っていうのは、主人公の視点だったり、敵の視点だったりするわけですから」ということで、定位置を心がけてるそうだ。

クローズアップ 
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これから紹介するのは「Act.85 思い出」の回の生原稿。荒木さんは画用紙をピンで留めて裁断したオリジナルの原稿用紙を使用している。人物のアタリをラフスケッチと同様に青線で取っていることに注目。また、枠外にはトーン番号や効果線の指定などが同じく印刷に出ない青線で描かれている。
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肉体派キャラのルーツについて聞いたところ、キリシャなどの古典西洋絵画の伝統にあるという。「昔は肉体美に生命力というかそういう意味を感じてて。シュワルツェネガーとかの全盛期で、面白い作品いっぱいあったから。でも今は女性の方がバキバキになってるから、男性よりそっちの方に変わってきてるかもしれないですね」。ただ、キャラを描くときの意識としては、「女性とか男性の区別はなくて、人間として捉えてます。これからのマンガだとは特に区別しない方がいいかも知れないですね」とアドバイスをしてくれた。
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「ジョジョ」においては男女問わずキャラがセクシーなのは有名だが、そのヒミツが分かるワンショット。F・F(エフ・エフ)の目元、眉毛に注目。目の縁取りはペンで描かれたものだが、外側、いわゆる化粧でいうアイラインを黒のマーカーで太めに描いているのだ! ちなみに男性キャラの眉毛についてはこんな逸話が。「少年マンガには、絶対眉が太くなければいけないっていうキマリみたいなのがあってね、私もそれを克服するのに何年かかったことか(笑)。それは川崎のぼるさんの「巨人の星」の呪縛で、それがとれてきたのが仗助の頃です」
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DアンGを撃とうとして逆にホワイトスネイクの手刀を受けてしまうF・F(エフ・エフ)。ここはプロット1ページ5段目から2ページ2段目までのシーン。プロット1ページ4段目を前に載せた計3ページの原稿に振り分けて、こちらのシーンをアクションたっぷりで見せている。上のアップは勢いよくホワイトスネイクの手にめり込む弾丸のスピードを表現しているシーン。血しぶき、ペンの上から入れたホワイトの線、素早い動きを表現するための斜線に注目(右上のホワイトスネイクのAの字は右部分だけ斜線になっている)。
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右はヨーヨーマッが蒸発していくシーン。煙が立ち上るように入れられたホワイトと、トーンを貼った上から重ねられたインスタンテックスが消えていく様を見事に表現している。左は最終ページ。前出のネームでは、アナスイがショックを受けている顔のアップが最後のコマになっていたが、最終的には手形が焼きごてのように残っているということをアップで強調して不気味さをさらに増した形の原稿が完成した。
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弾が当たって下から上へ首がふっ飛ぶという荒木さんらしいケレン味のあるシーン。血のように見えるように「ドボ―――」のドだけ白抜きされていたり、遠くに行くほど大きくなる「ゴァパァァアン」の文字が血しぶきを連想させる。また、胴体から出ている血はベタで表現されているのに対し、壁にかかった血は集中線が入っているところが面白い。こういうアクションシーンはどういう順番で描くか悩むところだが、荒木さんの場合、キャラのペン入れ、細かい血しぶき、集中線を先に入れ、その上からトーンを貼り、そして描き文字をおいてホワイトで文字の周りを抜いているようだ。

スタンドラフスケッチ
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上は画集用に描き下ろされたイラストからスタンドが集合している一枚。左はスタンドのラフ案など。スタント造形に関してもデザイン的に奇妙で印象に残る方を重要視するという。「テーマがあるんですよ。闘う形とかね。肉体派でパンチを繰り出すな、と思ったらそうするし。例えばザ・グレイトフル・デッド(カラー図版右端の緑のスタンド)、あれはパンチがいらなから手をとって全部足にしたんです。要するに彼は機能を100%どう活かすかという、機能性のために形ができてる代表選手かもしれないですね」。ちなみに、第三部に出てくるマジシャンズレッドはエンキ・ビラル「ニコポル三部作」のホルスからとったんですと笑顔で教えてくれた。
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左はエルメェスのスタンド「キッス」、右はジョンガリ・Aのスタンド「マンハッタン・トランスファー」のラフ。「ジョジョ」ではスタンド名に洋楽アーチストの名前やアルバムタイトルがつけられることが多く、ファンの楽しみの一つ。鉛筆で描かれた方の「キッス」のラフは首・胸の衣装が変化している。スタンドは本人の成長により進化するものなので、今後新たなカが生まれる可能性が?
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THRILL 2001年9月号 Vol.22の金子一馬氏との対談
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二大人気クリエイター対談 
週刊少年ジャンプにて長きに渡り連載が続いている『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦。そしてファンのあいだでは悪魔絵師という異名を持つ『真・女神転生』シリーズのアート・ディレクター、金子一馬。日常においてもファッションに多大な関心を持つこの二人は、ファッションの要素を自分の作品にどのように取り入れ、そして進化させているのか? また、二人の作品のルーツとは何なのか? 今だからこそ明かされる二大人気クリエイターの秘密に迫ろう!
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撮影場所は新宿にあるトルコレストラン「ウスキュダル」。
検索してみたら、内装は昔のままのようです。 

★お互いのルーツについて
荒木 まずお互いのルーツなんかについてお話しましょうか。
金子 そうですね。
荒木 まず仕事の内容なんですけど、ストーリーまで関わっているんですか?
金子 はっきりとは公表していないんですが、僕も考えています。
荒木 あっ、やっぱり!だってグラフィック集を見ていて、ストーリーに関わっていないと描けないデザインだと思ったんです。 ただデザインしているだけで、こんなに多くのデザインができるのかと不思議だったんですよ。キャラクターとかの状況とかいろいろとあるじゃないですか。 スタンドっていうのは、その技の特徴に合わせてデザインしていくんです。 例えば水の中で活躍するスタンドであったら、こういうデザインにしなきゃおかしいみたいな。
金子 やはりキャラクターの行動原理みたいなところを考えていくと、こういうタイプのキャラクターだから、こういう格好をしている、そういうのがありますからね。
荒木 そうですよね。肩から毒ガスが吹き出すから穴がなきゃとか。それじゃあどういう穴がいいかな、みたいな。
金子 でも、スタンドの前にジョジョだったら、怪しいポーズとかほかにもいろいろとあるじゃないですか。あのへんはどうなんですか?
荒木 それはそのうち語りますよ……チョットあとで(笑)。
金子 あ、順番があるんだ?
荒木 そうそう(笑)。お聞きしたい順番があるんですよ。
金子 分かりました。じゃあ僕が聞かれちゃうんですね(笑)。
荒木 まず、自分のほうから言うと、ウチの両親がちっちゃい頃、本をいろいろと読んでくれたんですよ。 『トム・ソーヤの冒険』とか、あとジュール・ヴェルヌの『海底二万里』とか。 そういうのばっかでね、日本のじゃないんですよ。だから、なんか異常に外国へ対する憧れが強かったんですよ。で、食べ物や音楽にいたるまでそういうふうになっちゃって。だから日本食とかもあんまり好きじゃないんですよ。
金子 僕も和食あんまりなんですけど、でも寿司屋の息子なんですよね(笑)。
荒木 ハハハハ。ほんとに?
金子 それで目の前でアナゴとかの目玉にザクッ!とか串刺しているのを見て、イヤになっちゃった(笑)。 でも、本に関しては僕はジュール・ベルヌとかよりは、ディズニーっぽいほうが多かったですね。音楽はどうですか?荒木さんの作品読んでいたら分かりますが、洋楽好きそうじゃないですか。 僕も洋楽大好きなんですけど、タケノコ族とか昔流行りましたよね?僕、タケノコ族やってたんですよ。
荒木 あれ洋楽じゃないじゃん(笑)。
金子 でも、ジンギスカンとか(笑)。ああいうの聴いちゃうとおもしろいじゃないですか。そうしたら夜ヒットとか観れなくなっちゃって、そのまま洋楽にどんどん入っちゃって、ブラックとかファンク系が好きでしたね。
荒木 僕はプログレです。
金子 えっ、プログレ(笑)?
荒木 もろ’70年代ですよ。イエスとかエマーソン、レイク&パーマーとか。
金子 スタンド使いの名前はプログレばっかりじゃないですよね。
荒木 まぁ、全部ありなんですけど(笑)。
金子 僕が気になったのが”エシディシ(AC/DC)”(笑)。結構親近感ありましたよ。
荒木 バンド名は何でもオッケーですよ、外国のものであれば。日本語がダメなんですよ。拒否反応が出ちゃって。仕事中にね、感情移入しちゃうというか。ちょっとピクってきちゃう。「何こいつスカシたこと言ってんだ?」みたいな(笑)。
金子 まぁ、洋楽もかなりスカシたこと言っているんですけどね。
荒木 理解したらこっ恥ずかしくて聴けないことばっかでしょ(笑)。だから私の場合はリズムとか、音の広がりですよね。なんか空間があるんですよ、音と音の隙間の中に。なんかね、そこにグワッと入れるんですよ。ストリングスとかの微妙なところでね、待ちがあったりとか、風が吹いたりとかさ。だから、その人が何歌っていてもいいんですよ。
金子 そういうときはもう仕事がノリノリになったり?
荒木 そうそう、ノリノリになったり泣いたり。
金子 えっ、泣いちゃうんですか(笑)。
荒木 そう。「うわぁ~、切ないなぁ~」って(笑)。歌詞とか関係なく切なくなったりしません?
金子 いや、ありますあります。悪魔音階っぽいっていうんですか、なんか気持ちを上下させるものってありますよね。あれを上手く開発すれば人を操ることができるんじゃないですかね(笑)。

取材にはどこへ行く?
荒木 よく取材で海外とかには行かれるんですか?
金子 いえ、僕はあんまり行かないです。
荒木 じゃあオタク系の外国マニアですか?
金子 まぁそうです。人が一生懸命書いた本を一生懸命読んで、その人の情報をすべていただくというズルいやり方です(笑)。でも、時間があれば行きたいですけどね。荒木さんはよく行ってますよね?
荒木 私は場所限定ですけどね。イタリアとかが多いですね。イタリアは本物っぽいところがなんか好きなんですよ。他の国はその物真似みたく見えちゃうんですよ。彫刻とかを見ていても、「あ、これはあの彫刻のイミテーションだ」とか思ってしまうんですよ。
金子 僕はどっちかと言うともっと日本のアンダーグラウンドな場所を探索したいですね。新大久保で立っている人たちの生活をもっと見てみたいし、薬物とかもどういったルートで動いているのかとか知りたいですね。
荒木 それもゲームに関係します?
金子 そうですね。ゲームの世界観として現代モノが多いので、必然的に東京の今に興味があります。都会に限ったことではないけど、人の集まる場所には昼の顔と夜の顔がありますから、昼はともかくとして夜というか”闇”の部分のリアルさを描くことで、よりインパクトのあるメッセージを発信できるのかな、と思います。単純にクラブとかが好きというのもありますけど・・・・・・。
荒木 クラブはどこらへんに行くんですか?
金子 どこということもないんですが、今は大箱が多いですね。若いときはマニアックな店にもよく行ったんですが、今はちょっと・・・・・・。昔のクラブって自動で水が流れなくて、その代わりに便器に氷が置いてあったんですよ。それが解けて水が流れる仕組みになっていて。で、朝の4時頃トイレに行くとそれがすべて血だらけになっていて。
荒木 えっ、なんで?
金子 要はケンカですよね。グループ抗争みたいな。まぁ怖い思いとか痛い思いもしたけど、ヤンチャな時期にそういうものを見たり聞いたりしたことは、今の自分にとって大事な要素になってますよね。
荒木 でも東京が舞台なら東京がいいですよね。私が”スタンド”という概念を思いついたのは、エジプトなんですよ。というのは、向こうの人達ってすごく怪しいじゃないですか、見てくれが。それで全員悪党だと思って。
金子 ウハハハハハ。
荒木 こん中の誰が敵でもおかしくないなと。で、その人間を信用できないというか、いくら親切にされても、なんか怪しいんですよ。
金子 なんか腹に持っているんじゃないかと。
荒木 それで悪の力というか、もうひとつの力というか、スタンドを思いついたんです。
金子 ああ、だからマンガは最初エジプトから始まったんですか!?
荒木 そうなんですよ。まぁ、編集担当さんがエジプト好きだったというのもあったんですが。住んでいる人達のパワーがホントすごかった。
金子 やっぱ行ってみないと分からないことありますよね。
荒木 そこから近くの人は力が強いだろうけれど、遠くにいる人は力が弱いとか。いろいろとルールを作ったんです。
金子 何でもできちゃうとつまらないんですよね。荒木さんのマンガは弱いところがいいんですよ。弱点を克服していくとか。ウチのゲームは悪魔を使役するものですから、そこでちょっと違うニュアンスというか、悪魔を守護霊として付けたらどうだろう?ってなったんです。そこからペルソナが生まれたんです。で、守護霊なんだけれど、その属性はインドの偉い神様だったり、どこそこの妖怪だったりしたわけです。ただ名前が示すとおり、ペルソナって”個性”じゃないですか。もうひとつの化身ですよね。そのキャラクターの、なんていうんですか、今の格好や、しゃべり方、やっている仕事までいろいろとあるわけですよ。そういうのをすべてそこに集約してみようと思って。そういった意味ではゲームで自然とキャラクターが動いてくれましたね。

絵を描くようになったキッカケ
荒木 金子さんがグラフィック・デザイナーになろうとしたキッカケはなんだったんですか?
金子 昔っから絵は描いていたんですけど、最初は漫画家になりたかったんですよ。でも、中学時代に女のコにもてたいなってなってきたときに、服装とかもちょっと悪ぶってみるとか、そっちにいこうとしちゃって失敗したんです(笑)。で、ある一定の年齢になったときに仕事何をやろうかなってなって、ミュージシャンにもなれないし、なんにもなれない。そして最後に残ったのが絵だったんですよ。で、会社に入ってみたはいいですけど、自分の力がたいしたことがないなってまたまた判明して、そこから努力した感じですかね(笑)。
荒木 私はね、学校のクラブで剣道とかやっていたんですが、一回も誉めてもらったことがなくて。勝っても負けても。でも漫画描いたときはね、「上手いね!」ってみんなに言われたんですよ。だからその気になりましたね。あと友達にね、すげぇ喜ぶヤツがいたんですよ。「これ最高じゃん!」みたいな。
金子 ハハハハ。既にその頃から編集者みたいなのが側にいたんですね。
荒木 そうそう編集者みたいなのが(笑)。で、ほんとその気になってきてさ、じゃあ明日もちょっと徹夜して頑張ろうかなって。この絵柄だとやはり永井豪さんですか?
金子 そうですね、永井先生の影響は強いですね。あと仮面ライダーとか、怪獣とか・・・・・・。
荒木 あ、怪獣の影響はあるね、絶対!
金子 怪獣の名前とか全部言えるんじゃないですかね。ライダーカード見せられても、怪人の名前全部言えますからね。でもおもしろいのが、デザインしていくうえで資料とか調べていると、その元ネタが分かってくるとこですね。ウルトラセブンの怪獣とソックリの土偶を発見したりとか。
荒木 ああ、あるある。
金子 鎧をモチーフに服のデザインをしようかなって思ったときに気付いたんですけど、鎧を省略していくとウルトラマンのコスチュームになるんですよね。西洋甲冑を線だけで模様にしていったりするとなるんですよ。
荒木 究極の抽象画ですね。ピカソとかもアフリカの仮面とかを見て、どこまで簡単に描けるかと試していたそうじゃないですか。同じですよ。確かにウルトラマンの形は究極ですよ。スヌーピーとかも絶対真似できない形なんですよ。あんなの描けない、普通。
金子 どうしてああしようと思ったんだって思いますよね(笑)。
荒木 ウルトラマンもこれ以上簡単にしてカッコイイのはできないですよ。
金子 それに誰にでも描けますからね。だからあとからあとから増やしていくのは簡単なんですよ。でも削ぎ落としていく作業はホント難しい。

いよいよファッションについて
金子 普段はどういう格好をしているんですか?もっとキチッとしているんですか?
荒木 めったにネクタイとかする格好はしないですよね。でも、なんか自分にしっくりくるブランドとかってないですか?ブランドでも絶対に似合わないっていうのがあるんですよ。プラダとかは着ても合わないんです。自分じゃないというか。あとグッチもダメ。
金子 確かにそういうのはあるかもしれませんね。僕はゴルチエが多いんですけど、よく買いに行くんです。それで結構馴染みなんで、「マンガ家さんとか来る?」なんて聞くとジャンプ系のK・Mさんとか、T・Bさんとか来ているらしいですよ。K・Mさんなんかは一度にウン十万くらい買っていくそうで。「すげぇーな!」とか思いますよね。T・Bさんは友人とか彼女に買っていくそうですけど。「なんかマンガ家もいろいろやってるなー!」とか思いましたね(笑)。
荒木 僕は買い物自体あまり行かないですね。ブランドではベルサーチとかドルチェ&ガバーナとかですね。でもそんなにドカッといかないですけど。でも、ファッションといえば、モデルとか眺めているのが好きですね。モデルってなんか妖怪っぽいじゃないですか。首をひねっていたり、口が異様にでかかったりとか。そこらへんがクルときがあるんですよ、ビビッと。で、模写していくと次第にジョジョのキャラクターっぽくなってくる(笑)。腰をくねらせて立っていたりとかね。ねじらせるのは、もうイタリアの定番なんだけど。
金子 そういうのがジョジョとかの謎のポーズと化していくんですね。「ズキューン!」とか、血管つかんで「コリコリしてるぞぉ~!」とか(笑)。ペルソナで体力を回復してくれる妖精が登場するんですが、その妖精の名前がトリッシュっていうんですよ。名前はファッションモデルのトリッシュ・ゴフからとったんですよ。まだ彼女がそんなに有名じゃなかったときに、「あ、このコ可愛いな!」って思って。名前もおもしろいし。でも、しばらくしたら超有名になっちゃって「ヤベぇー!」とか思って(笑)。
荒木 でもその頃から彼女のことを知っていたのはスゴイですよね。私がトリッシュ・ウナを考えたときは超売れていたときだから。
金子 モデルの名前ってみんなカッコイイじゃないですか。シャローム・ハーローとか。
荒木 彼女もでっかいつり目でカッコイイですよね。
金子 最近大ぶりな人よりも細身のモデルのほうが多いですよね。デボン青木とか。
荒木 デボン青木も不思議な感じだよね。
金子 彼女、ロッキー青木の娘だって知ってました?
荒木 え、そうなんですか?誰ですか、ロッキー青木って(笑)。
金子 レストランのベニハナって知ってます?
荒木 あー、ハイハイ。
金子 あそこのオーナーなんですよ。それはそうと仗助(ジョジョの奇妙な冒険四代目主人公)あたりがフェレがどうのとかあったじゃないですか。だから荒木さん好きなのかな?って思って。
荒木 でもホントはこれ描いても分かんねーだろうなって思いながら描くんですけどね。
金子 モスキーノとかね。
荒木 ああ~、モスキーノも良かったね!あれが出たときはびっくりしたよ。ピース・マークのデザインとかになるんだよね。
金子 ダブルのスーツとかもスゴク特徴的で。ボタンが目の代わりになっていたりして、顔になっちゃうんですよね。最近のデザイナーではジョン・ガリアーノとか。アレキサンダー・マックイーンとか。スタンド使いにもいるけど(笑)。
荒木 あと僕はロベルト・カバーニですよね。いるんですよ、最近出てきた人が。東京にはお店がないんですけど。危な系のお姉さんの格好なんですよ。ああいうのは「いいなぁ!」とか思いますね。

作品の根底に流れるもの
金子 荒木さんの作品って、ものごとを例えて言うじゃないですか。それってなんかシェイクスピアっぽいというか、日本の文学やドラマ、マンガにもあまりないですよね。
荒木 でもね、梶原一騎さんとかがやっているんですよ。「小さい人間が大きい人間を投げるには、自分はチビだと思わなければいけない!」みたいな(笑)。そういう概念にクッと感動するんですよ。「うまいこと言うなぁ!」って。読んでいたのは小学校4年生くらいなのに、なんか感じるものがあったんですよ。
金子 僕は荒木さんが梶原一騎を読んでいたこと自体ドキッとしましたよ(笑)。なんかかなりイメージと違いますよね。
荒木 じつは『巨人の星』から入っているんです。
金子 ウソ、マジっすか!?
荒木 小学校1年くらいだと思うんですが、その頃から・・・・・・。これはあまり言っていないことなんだけれど、最初マンガを持ち込もうとしたのは『マガジン』だったの。でも、たまたまそのときに梶原一騎が『マガジン』で連載してなくて、じゃあ『ジャンプ』のほうがいいやって(笑)。
金子 えっ、スッゲェ意外(笑)。
荒木 外国好きっていうわりには、貧乏人がのしあがっていく話も好きなんですよ。
金子 単行本に出ている写真とか見させてもらうと、こう言っちゃあ失礼ですけど、なんか育ち良さそうだなって思うんです(笑)。
荒木 ハハハハ。
金子 それでまた、岸辺露伴の話なんか書いてしまうもんだから、なおさら「大丈夫なのかな?」なんて思われちゃっているかもしれませんよ(笑)。
荒木 でも、金子さんもなんか意外ですよ。もっと怖そうなイメージがありましたから。
金子 よくそう言われるんですけどね。性格俳優ぽいって。ホントは気さくなやつなんですよ、こう見えて。僕はマンガといえば『天才バカボン』ですね。
荒木 あ、赤塚先生(笑)。それもそれで何かあれですね~(笑)。スゴイですよね。
金子 なんかあの、シュールな世界観がたまらなく好きなんですよ。だってタモリを育てた人ですよ!ある意味タモリを飼っていたんだから、個人用として。それでプロデュースしたんですよね。
荒木 世界観といえば、私はキリスト教の学校へ行っていたんです。だから毎日聖書を読んでて、自然とそういう考え方っていうのは染みついていますよね。
金子 ホントですか?カトリックですか?
荒木 いえ、プロテスタントだったんですけど。聖書で弟子が裏切る場面とか、子供の頃は「なんだろう?」とか思っていたんですが、大人になるとね、重いものがあるんですよ。いろんな文学のルーツもそこに含まれていて、いろいろとネタが分かってきて。でも、僕の場合は神様を信じているというよりも、いるって感じですね。具体的に言うことは難しいんだけど、運命とかも含めてね。それで作品の根っこのところにそういうのがないと、怖いことになるんですよ。「自分は何で漫画を描いているんだろう?」ってね。ただお金を稼ぐためなのかとか、女のコにもてたいだけなのかとかね。なんかね、それがいつかヤバイことに感じるようになってくるんですよ。でも、そこに正義だとか、人間愛だとかがあれば頑張れるっていうか。
金子 確かに人間愛とかがないと描けないですよね。お金とかがついてくるのはもちろんいいんだけど(笑)。でも、ただそれだけのためにやっているんじゃない。
荒木 やり続けるためには、そういうのが必要なんじゃないですかね。
金子 人間生きていくのはなぜ?って考え始めると、それはそれで難しいものがあるし。
荒木 こういうね、運命とかを描いていると「何でこの人ここにいるんだろう?」ってなってくるんですよ。それは主人公に思い入れがあればあるだけ強くなる。RPGなんか作っている人はもっとそういうのがあるんじゃないですかね。
金子 そうですね。キャラクターの必然性なんかについて考えてしまいますよね。動物とかって地球上に循環として存在しているじゃないですか。ミミズだって土を浄化するために生きているし、子孫を残すことが目的じゃないですか。でも人間だけは別のことをやっている。
荒木 でも、そういう世界が前面に出てくるとダメなんですよね。下の下のほうにあって、見えちゃダメなんですよ。無いともっとダメなんですけど。マンガだけじゃなくてね、音楽も何もかも。
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