ジョジョの奇妙な研究所

ジョジョの奇妙な冒険について色々と研究しています。
コミックスとジャンプ掲載時の違いや、ジャンプにしかないネタなどがメインになります。 所長:TOK

タグ:荒木飛呂彦

荒木飛呂彦先生の画像検索してよくひっかかるのが、各年の荒木先生の写真を並べてるやつ。
ネタ画像扱いなのか、最初の方にモナリザだとか土方歳三だとか載ってたり、
大きさがバラバラだったり、年を間違えてたり、年が飛び飛びだったり・・・と、つっこみどころが多いわけですね。

一番古いのを探してみたら2003年のものがありました。
araki2003
この時から土方歳三があり、以降、過去の人物ネタが受け継がれていってます。
2001年まではジャンプの表紙やコミックスの著者近影からで、2003年はパリ個展の時の写真。

2004年版
araki2004
2003年版にモナリザと2004年の青マルジャンプの写真が追加。

2005年版は見つからず。

2006年版
araki2006
2004年版は受け継がれず、2003年版に2006年のサタデーナイトの写真が追加。

2007年版
araki2007
それまでの2004年~2006年は無視され、2003年版に2007年の溜池Nowが追加。

2008年版
araki2008
2004年版を受け継ぐ形で1980年の手塚賞授賞式と2005~2008年が追加。2007年のジョジョ立ちはQuickJapanインタビューの時の写真。
しかし問題なのはNew!2008となっている写真。いくらなんでも若すぎる。
それもそのはず、これは1989年に出版された「栄光なき天才たち第4巻」に掲載されていた写真。
このことは「@JOJO」でも突っ込まれていました

2009年版
araki2009
ちゃんと幅が揃えられているのがえらい。ツッコミが入ったのを受けてか、2008年が変わってますが、これは1部ゲーのインタビューの時のものなので2006年になります。2009年のは集英社 第四編集部寄稿家謝恩パーティーの映像から。よくこんな所から持ってきたな。

2010年版
araki2010
2004年版を元に、2006年以降を追加。2006年は「ファントムブラッド共同プロジェクト」の記者発表会。2010年は広瀬川インタビュー。ちゃんと1989年の写真が1989年に移動されてます。
そして初めて2008年に2008年の写真が使われました。
これは桜塚やっくんのBlogに掲載されていた、SOUL'd OUTのライブに来てた荒木先生
なお、この画像は以降は継承されなかったらしく、恐らく唯一正しい2008年の荒木先生が載ってる画像となった。

2011年版
araki2011
ガセの情報が薄れたのか、再び2008年版からの継承。しかもさらに過去に遡ってる。特に似てるとも思えないが、どういう基準で選んだんだろう。
2009年はファンタジーコミック大賞、2010年は手塚賞&赤塚賞受賞パーティー。2011年となってる広瀬川インタビューは、記事の公開は11年2月だが、インタビュー時期が10年11月と記載されているので、2010年が正しい。

2012年版は記念の年ということもあってか、何人か作成されてます。
2012年版①
araki2012
2008年版を継承。2011年にSPUR、2012年にダヴィンチ。

2012年版②
araki2012_3
2011年版を継承し、ダヴィンチをプラス。

2012年版③
araki2012_4
2011年版の2005年までを継承。2009年となってるのは2010年に文星芸大で行われた「ちばてつや×荒木飛呂彦トークライブ」

2013年版
araki2013
2012年版①を継承。2013年となってるのはJOJOmenonの写真なので2012年のもの。

2014年版
araki2014
2012年版③を継承。2013年となってるのは「JOJO's Kitchen」(シュールストレミングを食べてみた)で、2014年1月に公開されたもの。2014年のはメディア芸術祭贈呈式。

2015年版は見つからず。

2016年版
araki2016
2012年版②を継承。2013年はメディア芸術祭大賞受賞、2016年はNHKの「プロファイラー」。

これ以降は2020年版まで見つからず。
これまでの系譜を図式するとこんな感じ。(なんだこれ)
arakikeifu

そして2020年版
Red男爵@Japerrin_1838さん作成。過去の色々なもの継承しつつチョイスが刷新。
ただいくつか間違いがあったので引用リツイートで指摘させて頂きました。
そしてその後、修正
されましたが、まだ間違いがあるようですね。(修正はされないそうなので指摘は割愛)

とまぁこんなにツッコミ所が多いので、そろそろちゃんとしたやつを一度作っておかないといけないのではと思ったわけですが、
まず1年に1枚というのがもったいない!
特に画業25周年記念あたりから露出が増えて、いい写真が1年に何枚もあったりするので一つに絞ることが出来ない!
というわけで同じ年に何枚もあってもいいじゃあないかと、開き直って作ってみました。
(画像クリックででかくなります。twitterに上げたヤツから少し変わってます)
araki2020_2
まずはサイズを揃える。カラー写真を優先。色んな表情が欲しいので、動画からのキャプチャはなるべく笑顔なやつで。
twitterで画像が切れないように、1:2の比率で画像を作成する為、15×7で並べる。
年が行を跨がないように画像を取捨選択し、105枚に収める為に泣く泣く削った写真多数。
撮影時期が明確でない場合は、書籍の発行年月日、記事・番組の公開年月日で年を判断。
密かな拘りポイントとして、ちょうど真ん中にモナリザ荒木先生が入るようにしています。
1日中眺めていられますね。
次やるとしたら入れられるもの全部入れてみよう。

出典は以下の通りです。
・1行目
81.「わが青春のトキワ荘 ~現代マンガ家立志伝~」81年
84.「魔少年BT」84年10月出版
85.「週刊少年ジャンプ」85年6号
85.「バオー来訪者」2巻 85年11月出版
86.「ファンロード」86年5月号
87.「週刊少年ジャンプ」87年6号
87.「ジョジョの奇妙な冒険」1巻 87年8月出版
88.「週刊少年ジャンプ」88年6号
88.「ジョジョの奇妙な冒険」3巻 88年4月出版
88.「ジョジョの奇妙な冒険」6巻 88年10月出版
89.「週刊少年ジャンプ」89年5・6合併号
89.「栄光なき天才たち」4巻 89年2月出版
89.「ジョジョの奇妙な冒険」11巻 89年8月出版
90.「週刊少年ジャンプ」90年6号
90.「ジョジョの奇妙な冒険」19巻 90年12月出版
・2行目
91.「週刊少年ジャンプ」91年5号
91.「ジョジョの奇妙な冒険」22巻 91年7月出版
92.「週刊少年ジャンプ」92年5号
92.「週刊少年ジャンプ」92年39号 第91回ホップステップ賞審査員
93.「週刊少年ジャンプ」93年5・6合併号
93.「Vジャンプ」1993年2月号
93.OVA「「愚者」のイギーと「ゲブ神」のンドゥール -前編-」特典インタビュー 1993年11月発売
94.「週刊少年ジャンプ」94年5・6合併号
94.「ジョジョの奇妙な冒険」36巻 94年2月出版
94.OVA「 DIOの世界 亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス」特典インタビュー 1994年8月発売
95.「週刊少年ジャンプ」95年5・6合併号
95.「週刊少年ジャンプ」95年5・6合併号 第119回ホップステップ賞審査員
95.「ジョジョの奇妙な冒険」43巻 95年8月出版
96.「週刊少年ジャンプ」96年5・6合併号
96.「ジョジョの奇妙な冒険」47巻 95年8月出版
・3行目
97.「週刊少年ジャンプ」97年5・6合併号
97.「ジョジョの奇妙な冒険」55巻 97年11月出版
98.「Comnavi」98年2月10日号
98.「ジョジョの奇妙な冒険」57巻 98年3月出版
98.「週刊少年ジャンプ」98年32号
99.「週刊少年ジャンプ」99年1号
99.「ジョジョの奇妙な冒険」62巻 99年3月出版
99.「ダ・ヴィンチ」99年5月号
00.「ストーンオーシャン」SO1巻 00年5月出版
00.「ストーンオーシャン」SO3巻 00年8月出版
01.「ストーンオーシャン」SO6巻 01年4月出版
01.「ストーンオーシャン」SO9巻 01年11月出版
02.「ストーンオーシャン」S10巻 02年2月出版
02.「黄金の旋風のすべて」 02年09月出版
02.「ストーンオーシャン」S14巻 02年12出版
・4行目
03.「ストーンオーシャン」S16巻 03年4月出版
03.「JOJO IN PARIS」 03年4月
03.「COSMO POLITAN」 2003年7月号
04.「青マルジャンプ」04年4月号
04.「スティール・ボール・ラン」2巻 04年5月出版
05.「SBR」5巻 05年8月出版
05.「ダ・ヴィンチ」 05年9月号
06.「スティール・ボール・ラン」7巻 06年3月出版
06.「大阪芸術大学 大学漫画 Vol.4 06年3月出版
06.「ジョジョの奇妙な冒険 ファントム・ブラッド」特典DVD 06年10月
07.「週刊SPA!」07年2月20日号
07.「溜池Now」 第37回 07年8月公開
07.「週刊文春」 2007年10月25日号
08.「ライラの冒険 黄金の羅針盤」公開直前対談 2008年2月
08.「桜塚やっくんの見ないとがっかりだよ」2008年4月24日
・5行目
09.メビウス来日(euromanga vol.7) 09年5月
09.ファンタジーコミック大賞 特別企画 09年7月公開
09.「ヤナギハライブログ」 09年12月15日
10.「スティール・ボール・ラン」20巻 10年3月出版
10.ちばてつやX荒木飛呂彦 トークライブ レポート 10年9月公開
10.「私の広瀬川インタビュー」 11年2月公開(10年11月撮影)
10.ゆでたまご嶋田@yude_shimada 10年12月14日
11.グッチ新宿リオープンと原画展を記念したパーティ 11年9月
11.「SPUR」 11年10月号
11.ちばてつやのブログ「くずてつ日記」 11年12月13日
12.「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」記者発表会 12年7月
12.「ダ・ヴィンチ」 12年8月号
12.「AERA」 12年10月22日号
12.「サキよみ ジャンBANG!」 12年10月
12.「JOJOmenon」 12年10月
・6行目
13.「しょこたん♡ブログ」13年2月7日
13.「ジョジョリオン」4巻 13年5月出版
13.「JOJO's Kitchen 荒木飛呂彦パスタを作る」13年8月公開
13.「藤子不二雄ファンはここにいる」13年12月26日
14.第17回文化庁メディア芸術祭内覧会 14年2月
14.SPUR「LOVE MORE」 私のラブモード 14年8月
14.「友利新のビューティー診察室」 14年12月20日
15.「不登校新聞」 403号 15年1月
15.「荒木飛呂彦の漫画術」ビデオメッセージ 15年5月
15.「所々ジョージ(助走・織田) 公式ブログ」 15年12月31日
16.「ザ・プロファイラー ~夢と野望の人生~」“神から愛された男”の苦悩~ミケランジェロ~ 16年1月
16.「和の守」完成報告 16年9月
16.第45回ベストドレッサー賞授賞式 16年11月
16.「MFU STYLING BEST DRESSER STYLE BOOK 2016」 16年12月
16.手塚るみ子@musicrobita 16年12月12日
・7行目
17.「王様のブランチ」荒木飛呂彦×谷原章介対談 17年3月
17.「20時間一挙放送!80年代洋楽ヒットパレード」スペシャルコメント 17年3月
17.「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展inS市杜王町2017」オープニングセレモニー 17年8月
17.「ジャンプ展VOL.1」原哲夫×荒木飛呂彦対談 17年9月
18.「日曜美術館」静かな絵画革命 宮廷画家ベラスケスの実験 18年4月
18.「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」発表会 18年6月
18.「SPUR」 18年10月号
18.漫画家・荒木飛呂彦氏が考える「紙とデジタルの違い」18年11月号
19.平成30年度芸術選奨贈呈式 19年3月
19.「JOJOnicle」19年9月
19.ゆでたまご嶋田@yude_shimada 19年12月12日
20.「東京2020公式アートポスター展」オープニングセレモニー 20年1月
20.ジョジョの奇妙な冒険 公式 @araki_jojo 20年1月23日
20.「長崎新聞」20年2月6日
20.「謎の国宝 鳥獣戯画 楽しいはどこまで続く?」 2020年5月

ここまで見て頂きありがとうございます。
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COSMO POLITAN 2003年7月号 のインタビュー記事
僕にとってマンガは日記みたいなもの。次回作も今の作品の先にしかありません
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僕のマンガを読んだことのない年配の方と、9歳の女の子から絵をほめられたことが、パリで個展を開く自信になった
『週刊少年ジャンプ』の数あるマンガの中で、'87年の連載開始以来、16年にわたって読者の圧倒的な支持を受け続けている作品がある。独特のタッチをもった美しい絵と、奇妙なまでに精緻な世界観に裏づけられた、スリリングなストーリーをもったその作品が『ジョジョの奇妙な冒険」。コミックスは通算で79巻を超え、最新のシリーズPart6『ストーンオーシャン』も、先月、無事終幕を迎えたばかりだが、その作者が彼、荒木飛呂彦だ。
「もちろん、連載開始当初は、こんなに長く続くとは思ってもいませんでした。でも『エデンの東』とか『ゴッドファーザー』みたいなアメリカ小説の伝統、というか、話ごとに主人公が変わっても、じつはストーリー全体は何世代にもわたって続いていくような物語を書きたい、ともずっと考えていたんです」
19世紀のイギリスに端を発する、誇り高き紳士ジョナサン・ジョースターと、古代遺跡から発掘された石仮面の力で吸血鬼となったディオ・ブランドーとの善と悪の闘いが、その後も延々、シリーズを重ねるごとに世代と国を超えて続いていく……一度読んだらやめられない、超ド級の冒険大河ドラマ、である。
「僕が小学生のころは、『少年ジャンプ』が創刊されたり、『巨人の星』『あしたのジョー』が大人気で、すごくハマったんです。自分の生き方までマンガに教えてもらったような気がしましたね。ジャンプはお守りというかバイブルでした。どんなに荷物が重くなっても、学校のキャンプには必ず持参。手もとにあるだけで安心するんです。もちろん、ホームシックになると取り出して読んでいたし。マンガには、すごく救われた気がしています」
そんな読者としてのマンガとのつき合いが、次第に、自分の思いをマンガで表現したいという気持ちに変わっていったのは高校時代。
「テレビの『刑事コロンボ』が大好きで、あれは犯人を最初に見せちゃうじゃないですか。見ていると、犯人に感情移入している自分がいるんですよ。コロンボが『ちょっと待ってください』と言うとイヤーな気持ちになったりして(笑)。そんなふだんの価値観と違うものを見せられたりすると、本当にみんなが言っていることは正しいのか、とか物事をすごく多面的に考えるようになりましたね。次第に人と違う考えが浮かぶと、それを何かで表現したいと思うようになったんです」
さまざまな表現手段がある中、彼が選んだのは、やはり「マンガ」だった。
「マンガって、いろいろな魅力があるんです。絵はうまいけど、ストーリーが書けない人でも、絵がすごくへ夕な人でも、マンガ家になっている人はいる。文章だけでも、映像だけでもない魅力がある。それに、学校の勉強ではほめられたことがないのに、授業中に描いたマンガとかでは、友達とかから、絵、うまいいね、とほめられたのも大きかったかな」
この4月に、パリで初めての個展を開いたのも、彼のマンガを読んだことのないかなり年配の人と、9歳の女の子から「いい絵だね」とほめられたことがきっかけだったという。
「フランス人が日本のマンガをアートとして興味をもったのにも驚いたけど、素直に評価してくれたのは自信になりましたね。僕にとってマンガは日記みたいなもの。昨日完結したからといって、まったく違う世界観は描けない。完結した作品の延長線上、連続していく先の部分にしか、興味がないんですよね」
『ジョジョ』の世界は、まだまだ続く!
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『朝日新聞 1988年12月1日  朝刊』より
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1989年7月15日から名古屋にて開催される「世界デザイン博覧会」の広告です。
「<矢じるし>という記号も、さまざまな人の手がカタチにすると、このとおり。」
ということで、様々な分野の著名人がデザインした様々な形の矢印が描かれています。
ケント・デリカット(タレント)、小松左京(作家)、酒井法子(歌手)、清原和博(西部ライオンズ)、映画監督、学長、市長や大臣といった面々に混じって、荒木飛呂彦先生も「矢じるし」をデザインしています。(漫画家からは唯一の参加)
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時期的には2部連載中なので、ジョセフのものと思われる右手の甲に矢印が描かれています。
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調べた限りでは88年12月5日の読売新聞にも掲載されていたので、この時期の他の新聞や雑誌にも広告が載ってたかもしれません。
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季刊エス 2003年夏 Vol.3 のインタビュー記事
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荒木飛呂彦 個展 in PARIS
『ジョジョの奇妙な冒険』で圧倒的人気を誇る荒木飛呂彦がパリで個展を開催した。
第六部ストーン・オーシャン編も完結したばかりで、さみしい思いをしていたファンには嬉しいニュースだ。
今回は情報誌初!の独占取材でフランスの個展情報を紹介しよう。
2003年4月10日~30日、GALERIE ODERMATT-VEDOVI(PARIS, FRANCE)にて開催。
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「Giorno in Spring ,2003」84×59cm、イラストボード、アクリル絵の具

今回の個展は荒木さんたっての希望で実現したという。
荒木さんは「僕は世界に一枚しか存在しない『絵』というものにひかれるんだよね」という。確かに、つねに独創的で魅力あるイラストを描き続けてきた作家である。今回はそんな『ジョジョ』作品をもって、フランスでの個展。彼のイラストは西洋絵画の伝統ある画廊の人にどう受け止められたのだろうか?
漫画というフィールドから新たなジャンルへ挑戦を挑む荒木さんと画廊のオーナー・ヴェドヴィ氏に話を伺った。
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――今回フランスで個展をされるにあたってきっかけはどんなことだったんですか? 作家さん主導で、というのは珍しいと思うのですが。
荒木 僕のマンガというのは十五歳くらいから二十代の人が読むものだと思うんだけど、ある時九歳の女の子が僕に対して「絵、じょうずね」っていってくれたんですよ。それがね、嬉しかったの。マンガを読んでもいないのに、僕の絵にだけ興味を持ってくれていたのね。それと年寄りの人もやりなさいよっていうわけよ。それで、「そうなの?」って感じてやろうと思って。でも日本人よりも海外の方はどういう風に見るんだろうなと思って、その後いろんな人と知り合ってフランスでの個展になったの。自分でも驚いてはいるんですけど、きっかけは小さな子供。
――なるほど。では、画廊のオーナーとしては個展の開催依頼があったときにどのように思われましたか? こちらの画廊はいつもはルノアールやシャガールなどを展示している老舗の画廊だと伺ったので、とても新しい挑戦だったのではないかと思うのですが。
ヴェドヴィ まず私は抽象絵画の画商として、今世界的に注目されているマンガやアニメに非常に興味があったんです。そして村上隆さんなどの絵を拝見して非常に憧れを持っていた。そして何か新しいことを始めたいという気持ちがあって、お話が来たときにすぐ繋がりが持てるような感じがあった。だからそれが運命の繋がりだったんだと思います。また、同時期にトーマス・アルノーの、この人は有名なアニメの抽象絵画の画家なのですが、その人の絵を私は非常に好んで見ていました。でも彼が成功しているのは、アニメのテクニック、アニメの原画のイラストを出していること、色遣いもアニメのものにしていることが原因だと思うのです。そうした彼の持ち味に非常に興味を持ったことが、やはり荒木さんの展覧会に繋がったんだと思います。
――それは、日本的なアニメやマンガをご覧になって、西洋絵画にはない特殊な感じを受けるということでしょうか?
ヴェドヴィ 今までのものの考え方でいけば、フランス人もマンガやアニメは子供の読むものと思っていたのです。ですが、村上隆さんにしても奈良美智さんにしても素晴らしい芸術を発表してらっしゃる。そのことがフランスやヨーロッパでも認められている。それはやはり芸術として認めたということで、それに私も共感するということです。だからマンガのイラストレーションも抽象絵画の一端に入るという風に私たちは思っています。それは私たちだけではなく、ヨーロッパ人の芸術感覚だと思います。もちろんフランスでも若い人たちはマンガを好みます。ですから『ジョジョ』がフランス語版で出ていますが、買っている読者は十代から二十歳くらいの子供たちかもしれない。でも彼らも芸術性がなかったら絶対好まないんです。芸術性があるからこそ子供達の夢の中でもそれが受け入れられたと思うので。
――ヴェドヴィさんは抽象画としてご覧になっているそうですが、お描きになっている立場としてはどう思われますか?
荒木 自分的には抽象絵画というよりも西洋の古典技法に影響を受けているので、例えばベラスケスとかゴーギャンの色の配置が大好きで研究してるところがあります。それをマンガに取り入れているところはある。だから抽象絵画という概念はないです。むしろ取り入れて融合しているフュージョンの感覚はあるかな。マンガ家はたくさんの役割を持っていて、脚本家やカメラマンや俳優などがあったりするけど、画家みたいなところもあるのかなって思う。僕はそういうところに力を入れているというか、そういうタイプの漫画家だと思うので。でも抽象絵画は好きで見てはいますけど、概念は僕にはあんまりない。むしろどちらかというと古典的な方に意識はいってるから、なんというか・・・・・・ネオベラスケス?
――なるほど(笑)。古典絵画がお好きで見ていらして、そこから色の法則などを追求なさっているとのことなんですが、そういうところはヴェドヴィさんもお感じになりますか?
ヴェドヴィ 彼の作品の色の使い方が非常に美しいということから、やはり印象派の絵を非常に見てらっしゃるなという感じはします。でも抽象絵画、いわゆるコンテンポラリーの絵画もジャンルとしてとても構図に動きがある、雰囲気がある、色も非常に多く遣う。そしてやはり彼の作品の中にも非常に動きを感じる。動きがあると同時に美しい色遣いがある。そこが何か夢を膨らますように私には感じます。
――確かにキャラクターのポーズなども凄く独特で、マンガのモノクロ原稿でも非常に面白い構図があるんですね。それは荒木さんの特徴の一つだと思うのですが、そういうところも同じように見てらっしゃるのでしょうか?
ヴェドヴィ 一つ一つの、一コマ一コマの絵のデッサンが非常によくできているというところに感動があります。
――日本では最近はデッサンを取れた上でいかに自分なりにデフォルメするかというのが問題なのですが、その大先輩が荒木さんみたいな方なんですけれども。これから日本でマンガとかアニメーション、そういうものに携わっている方たちに期待されることはありますか?
ヴェドヴィ 日本の終戦後というものは、マンガの社会、アニメの社会、そういった芸術面でもアメリカから非常に影響を受けてこられた。しかしこれからの社会では日本のアニメというものが世界に影響を与えていく。日本のアニメーション、マンガの社会というものが世界に知られているということはみなさんが感じてらっしゃるわけです。そのように認知しているでしょうから。だからこれからは若い人たちが非常に出やすい形で発達して行くんじゃないでしょうか。
――なるほど、面白いですね。国内で作品を描いてる立場ではそういうことはなかなか分からないですから。海外で日本のマンガやアニメが流行っているといわれてもピンとこないんです。他の人からどう見られているのか、特に海外からそういう風に見られているという事はとても面白いです。
ヴェドヴィ 我々はやはり今までの既成概念に囚われている。新しい若者たちが自由な立場でもって世界的に視野を広げながら、自由な社会で何かをするということが、アニメやマンガを描くということも含めて、新しい意見になってくるんじゃないでしょうか。
――ちなみに今回は荒木さんの展覧会ということで、個人的に荒木さんの絵のどこらへんが一番面白いと思われますか?
ヴェドヴィ まず美しいこと。美しさを追求するということがこの社会からだんだんなくなってきている。また、新しい、今までなかったようなエリアに踏み込んでいること。私が子供の時に見たマンガ、子供の時に見たアニメというものとは全然違った新しい社会を創造してらっしゃる。そういうこともわたしが興味を持っていることです。個人的なお話になりますが、私には六才の男の子がいてその子がもうすでにマンガという言葉を使っている。ということは日本の「マンガ」という言葉がフランス語化しているということなんです。それだけ日本のアニメ、マンガが浸透しているという風に理解しています。そもそもわたくしの息子は荒木さんの『ジョジョ』の大ファンなんです。
――そうなんですか? 読者は世界中にいるということですね。
ヴェドヴィ そういうことです。たくさんいるということですよ。
――じゃあフランス展だけでなく、また別の国や土地でも展覧会を開催するといいかも知れませんね。
ヴェドヴィ 私の両親はベルギーのブリュッセルにある老舗の画廊なのです。ですからたぶん次回はベルギーでも公開させていただくことになるかもしれません。そうしたいと私は思っております。
――もう次回の予定があるようですね(笑)。
荒木 ヴェドヴィさんからいわれると。プロポーズがあったら地の果てまで行ってもやりますよ(笑)。すごい喜んで。
――じゃあ、次回展覧会を楽しみにしていますということで(笑)。ちなみに、今後こういう風に絵を描いていきたいというような抱負みたいなものがありましたら。
荒木 僕はいつも「勇気」みたいなものをテーマに絵を描いてるんです。やっぱり読んでる人に元気を与えたいかなって。ネガティブな方向には走らない、そこだけ気をつけて行こうと思っています。
――九歳の少女や六歳の少年もファンですからね(笑)。今日はどうもありがとうございました。

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個展レポート
 漫画のイラストを抽象画として
 今回の個展が行われたのは、オーデルマット―ヴェドヴィ画廊。ここはクリスチャン・ラクロワなど高級ブランドのブティックが建ち並ぶフォーブル・サントノーレ通りに面し、フランスの大統領官邸・エリゼ宮のすぐそばにある老舗の画廊だ。インタビューでも出たように、普段はルノアールやシャガールなどを展示しているということで、今回のように漫画のイラストを抽象絵画として展示するのは大きな挑戦だったそうだ。
 もちろん、その背景には村上隆や奈良美智など日本の現代美術のアーティストたちが評価されていることがある。また、フランスのテレビで『ドラえもん』や『遊戯王』が放映されており、日本の漫画・アニメが浸透していることもあるのだろう(ちなみにこの二作品は、個展会期中朝の八時台に放映していた)。
 そんな中で、漫画・アニメの絵を「新しい抽象画」として位置づけたいというヴェドヴィさん。今回の個展に関してだけでなく、新たな時代の流れをこのように考えているそうだ。「新しい世代の代わり目だし、新しい抽象絵画の時代はマンガの社会じゃないかと思います。それに対してはわたしの目は狂っていないと思うのです」
 老舗でありながら新たな挑戦を忘れない。それは、漫画家でありながら絵画としてどう見えるのか?にチャレンジした荒木さんと響き合うスタイルではないだろうか。

ジョルノとジョリーン 描き下ろしの二作品
 画廊の正面に飾られたのが四八ページ(※↑)に掲載したジョルノの新作イラスト。このページ(※↓)に掲載したジョリーンの作品とは対になる、描き下ろしの二枚だ。八四×五九センチという大きなサイズで描かれたジョルノは画廊の玄関の美しさと相まって存在感充分。もちろん、道行く人が足を止めて見入るシーンもあり、年代も若い女性からスーツ姿の中年男性、おばあちゃんなどさまざま。ちなみにジョリーンのイラストは、ジョルノの作品の「真下」に展示。画廊の地下(非公開)に設けられたスペースに飾ってあり、一階の床に空いたガラスごしの小さなスペースから覗くという構成だ。これはガラスを鏡に見立ててた面白い構成で、荒木さんらしい遊び心のある演出。
 余談だが、ジョルノにそっくりと言われていたオーナーのヴェドヴィさん。荒木さんいわく「あんまり似てるから、それで気に入ってくれたのかな?」と冗談をいうシーンもあった。
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「Jolyne in Spring, 2003」84×59cm、イラストボード、アクリル絵の具
 
ファンもたくさん来場
 オープニング初日はたくさんのファンが来場し、会場は一時混雑状態に。ファンの多くは日本語版のコミックスを手にしてサインを求めていたが、中にはLDを持参している人も。四十枚近く飾られた原画をしげしげと眺めながら漫画について語る姿は日本とほどんど変わらない。中にはベルギーから来たという大学生もいて、ネットのファンサイトで出会い、グループで来たそうだ。
 また、漫画のファイルを持参して荒木さんにアドバイスを求めていた人も。荒木さんいわく「日本人は線で描くような人が多いけど、フランスの方は面で描くようなタイプが多くて違いがあるよね」など親身に相談にのる一幕もあった。他にも『ジョジョ』作品のゲームやアニメなどの質問が相次ぎ、一時はファンによるミニインタビューのような雰囲気に。
 そして、帰りには芳名帳に感想を記していたが、そこにはもちろんジョジョキャラが。フランス語版は第三部までしか発売されていないとのことなので、日本の読者には懐かしい承太郎などが描かれていた。
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manga オモ!001(2003年冬)号に掲載されたエッセイ
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『霊感』について
 自分で言うのもなんだけど、自作『ジョジョの奇妙な冒険』でこういうテーマを何年も描いてるだけあって、超能力だとか霊感だとかいったものは、実際のところ本当にあるのかどうか? 異常に興味がある。
 UFOだとか宇宙人はまったく信じない。(侵略して来るなり友好結ぶなり、やるならさっさとやりなよ、子供の時からずっと待っているのに・・・・・・。というのがその理由)
 だが、超能力だとか幽霊といったものはどう考えればいいのか? 自分的には霊感みたいなものはないのだが、出会ったような気がするっていうのが過去3回ある。その体験を分析してみるのもなんかちょっと人生にとって大切な事かもしれない。

(BATTLE1)
 10年くらい前、イギリスのエジンバラのホテルの部屋で女性の幽霊を見た。夜中目を覚ますと外人の女の人がベッドのまわりをうろついているので、「こりゃ幽霊だ」と思った。でも、取材とかでスゴく疲れてたので「面倒くさいなあ、眠いのに」と思ったとたん、部屋から出て行った。

(BATTLE2)
 アシスタントに言うと恐がると思ったから言わなかったんだけど、仕事場のキッチンに老人の幽霊が出た。といっても見たわけではなく、食器がカチャカチャいう音とか、誰もいないのに水道がビチャビチャ流れる音とかで、おもに深夜ひとりで仕事している時。
 老人だとわかったのはたまたま撮った写真に写っていたから。「リビング(仕事机のある場所)に入ってきたら、神主呼んでお祓いしてもらうぞ」と言ったら、数年間ずっと台所限定の幽霊になり、仕事場の方には律儀にも入ってこなかった。
 やっぱり気が変わって、神主呼んでお祓いしてもらったら、もう出なくなった。

(BATTLE3)
 これはヤバかった。温泉旅館に泊まってる時に、和服の女性が出た。これまた夜中、目を覚ますと30歳ぐらいの女性がぼくに背を向け、テーブルの上でポットからお茶をついでいる。
 最初、幽霊と思わず仲居さんだと思って、「何してるんですか?」と言ったとたん、ぼくの布団の上にそのままうしろ向きにジャンプしてのっかってきた。ここでやっと、幽霊なのかもと思った。恐くて金縛りになったと思う。顔は見えない。顔は見えないが、布団の上をずるずるとはい上ってくるのがわかる。手に急須を持ってるのが見えた。
「まさか、もしかして、お茶をぼくの顔にかけようとしているのか?」
 そう思ったとたん、急に怒りがわいてきた。
 ここで自分の性格がわかった。なめられるとキレるみたい。力のかぎり、掛け布団をつかむと、部屋中布団をふり回して暴れ回った。
 電気をつけると和服の女性は消えており、テーブルの下に急須が落ちて、冷たいお茶がこぼれていた。(昨晩残したお茶か?)

 人に話すと「夢だよ」とみんなが言う。「作ったな」とも言われる。自分でも、実際のところ幽霊だったのかどうかわからない。脳内に、ある化学物質が出ると幻覚を見るらしいとも言われるし。
 幽霊か幻覚かどっちにしてもこういう出来事に出会ったら「敬意」を払う態度をとるのが一番だと思った。ストレスだとか疲労のために見た幻覚だとしても「敬意」を払って謙虚にしてれば心は休まると思うからだ。
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読むジャンプ (2002年12月3日号 週刊少年ジャンプ特別編集増刊)の特別対談
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読むジャンプは乙一氏が『THE BOOK』以前に書いた没原稿『テュルプ博士の解剖学講義』の導入部分のみが載っています。

「僕にジョジョのノベライズをさせて下さい。大好きなんです!」そのひとことが、漫画界の巨星・荒木飛呂彦先生と小説界の若き俊英・乙一先生を出逢わせた・・・。
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荒 最初、「乙一」って「おといち」さんだと思ってました。
乙 「おといち」でもうばっちりです。「きのとはじめ」と読んだ人もいますから。
編 乙一さんは、子どもの時、少年ジャンプの発売を待ちこがれて買いに行ったほうですか?
乙 行ってました。福岡は火曜発売だから月曜発売のところが羨ましくてしかたなかったです。
編 やっぱり『ジョジョ』を・・・。
乙 読みます。
編 『ジョジョ』をそんなに気に入ったところって、どこですか?
乙 ほかの作品にない、何かがありましたね。
編 荒木先生は「ほかの作品と自分の作品はこう違うんだ」というものは・・・。
荒 ないですね。ただ、何かね、僕は人から誤解されることがすごく多いんです。例えば兄弟の中ではね、妹が悪いのに僕のほうが怒られたり、無実の罪というか、そういうのが子どものときから多いんです。あと、何か学校で事件があったとすると、容疑者が僕だったりとか、何か日ごろの言動のせいかもしれないんですけど・・・。漫画も「100%理解されてないのかな」というのがしょっちゅうあって。でも、もうなれてしまって、それでもいいかなという感じで、無理に合わせようとしないんですよね。例えば編集部とかもこうしろとかって言ってくるんですよ。だけど、できないときはちょっとこのまま行くかなみたいな。貫くと言えば格好いいかもしれないけど、何というか、気にしないことにしている。そうすると、自然とこういう感じになるのかなというのもあるんですけど。
乙 僕は編集の人からは、何も言われませんね。
荒 それはいいですね(笑)。でも、無実の罪とかあんまりないでしょう。
乙 いや、ありますよ。それがほんとうに苦痛になって、一本書きました。
荒 あるんだな、やっぱりみんな。
乙 僕はクラスで全然しゃべらないんですよ。それで、ずっと黙っていると、相手が勝手に僕のことを想像するわけです。僕がずっと黙って座っていると、何かこんな人間なんじゃないかとか、勝手に思われていて・・・。それに全然クラスメートとコンタクトはなかったので、普通に生活していると、いつの間にか、全然自分の知らない僕のイメージができ上がって、いろいろな誤解を・・・。
編 例えば根暗なんて言われてた・・・?
乙 根暗。それは正解ですけど(笑)。
荒 誤解じゃないんだ!
乙 研究室配属のいざこざがあって、ちょっと僕が不正をしたような、だめな人間のやることをやったようなふうに誤解されて。でも、あんまりクラスメートとかコンタクトはなかったので、それは誤解だというふうに弁解する相手もいなくて、まあ、しようがないかなと思いつつ、過ごしたりして・・・。多分、今でもそんなふうに思われているんじゃないでしょうか。
荒 でもね、無実の罪もずっとやっているとね、あるとき認められるときがあるんですよ。それを知ると、誤解されていても、何かちょっと時期を待とうかなとか、それを学んでくるんですよ。漫画家になったときに、ちょっとそれを学んだんですよ。学んだというか、そういうものなのかと思うんですよ。認められたのは、やっぱり漫画だったんですよ。少年のときはほんとうに誤解されることが多くて、だけど、何か自分の好きなことで少年ジャンプで賞とかに入ったら、これでいいのかなと思ったとき、それが始まりだったかもしれないですね。やっぱり自分を変えないほうがいいというか、変えなくても、やり続けていると、二年後とか三年後に、だれか理解してくれる人とかが出てきたりとかするんですよ。
編 乙一さんは、ジャンプ小説大賞で大賞をとられてから、何冊か話題の本を出されて、今では世の中に認められた存在ですが、どこか自分の中での変化を感じることはありますか?
乙 うーん、何か微妙です。
編 微妙。
乙 変わらずに、そういうコンプレックスを、恨みみたいなものを、ずっと持っていたほうが、書く原動力になるような気もするし、そうやって認められてよかったという気持ちもあるし・・・。
荒 でも、乙一さんはすごい若くして認められていますよね。最初の作品とかは、友達みんなが「これは面白いな!」とかっていう感じだったんですか。
乙 いいえ。僕の身の回りには、そう言ってくれる人はいなくて、いろいろな人にも黙っていて。
荒 でも、手ごたえみたいなものがあって、「これはいける」という感じじゃないんですか?
乙 賞をもらった時は、何かの間違いだと思いましたね。むしろ「やばい」って・・・。それに受賞した作品は、幼い子供が死体を隠しまわる話ですから、親にすごく心配されました。
荒 それはあるよな。うちのおばあちゃんは、僕が上京したときに、東京で殺人事件とかが起こるとニュースが全国に流れるじゃないですか。犯人は僕だと思って、いつも仏壇に「違いますように」と願ったらしいんですよ。「何で?」って思いますよね。日ごろ殺人の話とかをしているからなんでしょうかね(笑)。
荒 今回のノベライズは少年のキャラクターがいいですよね。これも何か少年の、ある意味、ハリー・ポッター的な成長話というのになっているんですよ、これも。少年がどんどん成長していく話になっていて、そこがもう最高にいいんですよ。これは。多分、読んでないですけども、さっきの兄弟が死体を隠すやつも、そういうふうになっているんじゃないかな。隠しながらも、少年が成長していくって。
乙 なってないですよ(笑)。
荒 そうですか(笑)。
乙 今回書いていて、本当に思ったことは、荒木先生は漫画に何か父性的な感じがするんですよ。
荒 そうなの?
乙 自分の小説の中には、母性的なイメージが自分で見ていてつきまとっていたんです。他社から出した小説とかで。ですから、今度は読者が僕の小説を読んでどう思っちゃうんだろう・・・、そんな気持ちをずっと抱いていました。僕はどう書けばいいんだろうという感じで。
荒 僕は「父性的」というイメージはわからないけれども、でも、自分なりに書いたほうがいいと思うんです。母性的なら母性的なほうに持っていったほうが。
乙 荒木先生が、だれでしたっけ、好きな映画監督で、よくジャンプの目次のページに・・・・・・。
荒 マイケル・マン!
乙 はい。あんな感じの、男対男という戦いがあって、ジョン・ウーの銃を突きつけ合う感覚みたいなのが、僕の考える『ジョジョ』の中にあって、女の子が入る余地のない感覚というのがあるんですけど、僕の書く小説は、何かちょっと女の子が主人公になるパターンが妙に自分で考えて多かったんですよ。こんな『ジョジョ』は女々しいと思われるんじゃないかとかと思って。今回の話も少年がいて、母親がいて、ちょっと女々しいことを考えていて、こんなものを読んで大丈夫かなとか・・・。
荒 それは全然大丈夫だと思いますけど。なるほど、そういうことか。
乙 はい。
編 今回、四部をノベライズしていただきましたが、乙一先生は何部がお好きですか?
乙 どれも好きですね。
荒 でも、乙一さんという名前を聞いて、四部というイメージはすぐパッと来て、ああ、なるほどと思ったんですよ。大体、話が来たときに、何かね、ちらとその人の好みというのがわかるときがあるんですよ、片鱗が。例えばゲームなんかでは、絶対、こいつ、使わないだろうなというキャラクターとかを出したいとかって言ってきたりするんですよ。そのときに、「あっ、この人はこういうことを考えているな」というのがわかるんですよ。
編 普通、ノベライズといったら、それなりのキャラクターというのはみんな出てくるんですよね。
荒 そうですね。
乙 今回は、仗助だけ。でも、もっといろいろな作家さんが四部のノベライズを書けば面白いんじゃないかとか思いましたよ。四部は可能性がすごく残されている感じがします。
荒 そうですね。でも、この作品は、もう殺人鬼の吉良吉影が死んだあとの・・・。時間的にそうですよね。
乙 そうです。そういえば、仗助はその後はどうなったんですか? 進路とか。
荒 だから、そこで世界は閉じてて永遠の時を刻んでいるから。だからこそ、乙一さんが書けるんですよ。どこかに出てきちゃだめなんです。康一君はそういう語り部なんで、出てきたりしますけれどもね。
編 先生は、スタンドをお書きになるときに、必ずロックバンドの名前を・・・・・・。
荒 今回は悩んでんだよね。
編 そんなにやっぱりロックばっかりお聴きになっているんですか。
荒 いや、そういうわけじゃなくて、何かね、統一したいんですよね。そうすると、マニアがね、知っている人も知らなくても、何かこうくすぐられるところがあるというか。
編 乙一さんは、ロックはあんまり聴かないんですか。
乙 あんまり聴かないです。でも、『ジョジョ』を読んで知っちゃったんですよ。レコード屋に行って、「あっ、ジョジョで出てきた人だ」とか思って。
荒 そうですね。スタンドの名前がわからない人は別にわからなくていいんですけど。でも、今回のスタンドの名前、乙一さんに頼まれているから、ちょっと悩んでいる、どうしようかなって。乙一さんの作品を、壊しちゃいけないなとも思うし・・・。
乙 名づけ親、よろしくお願いします。
荒 考えてみますけど・・・。
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